優秀な学生を囲い込む
日本の大学の授業料は、長期的にみると、諸物価の中でも最も高騰しているといわれる。約半世紀前の1970年ごろは、国立大の授業料は年間1万2000円。有名私立大でも10万円以下のところが幾つもあった。それが現在は、国立大は50万円を超え、私立大も100万円前後に上がっている。
公立大は現在、概ね国立大と同じくらいの授業料。県や市が設立主体のため、議会の承認が得られれば、授業料の免除や値下げが可能だ。都立大など大都市圏の公立大は、有名国立大や私立大と受験生の争奪戦になっていることもあり、学費を安くすることで、優秀な学生を囲い込むことを狙っている。
朝日新聞によると、全国の公立大学は戦後長く30校ほどだったが、近年、看護系の公立大が増えたことや、経営難の地方私立大を、地方自治体が公立化して引き受ける例も相次ぎ、現在は全国で約100校に膨れ上がっている。地方の公立大も、地元の国立大と受験生を奪い合う形になるが、財政事情が厳しい自治体が多いので、大都市圏のような授業料の無償化は難しそうだ。