「コラム遊牧民」300回 あらゆる雑誌を探索した6年

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土屋さんと松重さん

   引用させていただいた筆者は、作家や随筆家、コラムニストら文筆を生業とする人のほか、各界の専門家や識者、芸能人、モデルなど実に多彩。何度も登場した人たち(別表)は私の好みを反映していますが、掲載誌を連載で支える顔ぶれでもあります。

   最多の7回登場した土屋賢二さんは、週刊文春に長期連載しているユーモア随筆のベテラン。思い出深い初回でも書かせてもらいました。哲学者(お茶の水女子大学名誉教授)というより、もはや文筆が本職でしょう。ハズレの回がなく、何度も笑わせてもらいました。密かに「困った時の土屋さん」と呼んでいたほどです。

   土屋先生と首位を分け合ったのは「孤独のグルメ」で知られる俳優 松重豊さん。サンデー毎日のコラムで拝読し、余技とは思えぬ文章力に驚いたのが出会いでした。その後 クロワッサンでも食エッセイが始まり、芸能界では希少な筆達者として知られます。

   人気の作家や随筆家にまじり、ジェーン・スーさんや武田砂鉄さんら、いくつもの媒体に連載を抱える売れっ子たちも上位に顔を出しました。

   引用元の雑誌(別表)では、発行サイクルが短い週刊誌が上位に並ぶのは当然ですが、婦人公論やクロワッサン、dancyuなどもよく使わせてもらいました。

   トップはいま最も元気がある週刊文春。「文春砲」のみならず、コラムやエッセイにも勢いがあります。大手出版社系の雑誌は、筆者にビッグネームがそろうだけでなく、新たな書き手の発掘も上手です。長年の読者が求める安定感と、執筆陣の新陳代謝の案配がいい。そんな中、名物連載をたくさん抱えていた週刊朝日の廃刊は衝撃でした。

〇引用回数が多かった筆者(敬称略、五十音順)
7回 土屋賢二 松重豊
6回 五木寛之 角田光代 ジェーン・スー 武田砂鉄 壇蜜 平松洋子
5回 金田一秀穂 鴻上尚史 酒井順子
4回 伊集院静 下野康史 鎌田實 小島慶子 下重暁子 中沢新一

〇引用回数が多かった雑誌(回)
週刊文春(25)週刊朝日(19)サンデー毎日(18)週刊新潮(17)週刊現代(15)婦人公論(12)女性セブン(11)クロワッサン(8)週刊ポスト(7)dancyu(7)SPA!(7)週刊プレイボーイ(6)ハルメク(6)サライ(6)with(5)

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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