「助力」を再確認
駅伝は、特殊なチームスポーツだ。「タスキをつなぐ」ということが、すべての出場選手に課せられた義務となっている。急に自分の体調が悪くなっても、選手は自分の意志でギブアップしづらい。チームの監督は、選手の安全を祈りつつ、レースの続行も期待せざるをえない立場なので、難しい判断を迫られる。
繰り返されるアクシデントに、日本陸上競技連盟は11月10日、ウェブサイトで「駅伝・マラソンの安全安心な大会運営についてのお願い ~助力に関する競技規則の再確認~」を公開した。
現在の競技規則を改めて通知することで、「アスリートが安心して競技に取り組める環境づくりを目指す」のが狙いだ。「助力」や「棄権」について、以下のように記している。
・転倒や意識混濁、疾病等により明らかに通常歩行や競技続行が困難となり、立ち止まりや横臥等の行動を行う競技者に対して、審判員や公式の医療スタッフが声掛けを行うことは、助力とは見なさない。
・本人がなお競技続行の意思を持っていても、競技者の生命・身体保護の観点から審判長もしくは医師の判断で競技を中止させることができる。
・審判員や公式の医療スタッフが一時的に介護するために競技者の身体の一部に触れることは、助力とは見なさない。
競技規則では、「助力」について、「転倒後、他の競技者から立ち上がることを手助けしてもらう以外に、前に進むための身体的な手助けを得ること」は、「許可されない」と記されている。しかし、上記のように、審判員や公式の医療スタッフによるものは、「助力とは見なされない」と規則に書かれていることを、陸連は今回、改めて通知している。
さらに、主催者および運営関係者に対し、「改めて、競技規則を確認いただき、競技注意事項や申し合わせ事項での周知、および監督会議等でのご説明をお願いいたします」と念を押している。