ネガティブな印象を持たれるようになった背景
一部のVRユーザーが、「メタバース」という言葉を敬遠する向き。タナベさんも、こうした言動をSNS上で目にすることがあるという。
「(2021年から)『バズワード』として使われ、『メタバース』を掲げたさまざまなビジネスが出ては消える。我々はこうした流れを見てきました」(タナベさん)
バズワードとは、説得力がありそうではあるが、正確な定義は曖昧なまま、世間で広く使われる用語を意味する。「メタバース」で「お見合い」や「旅行」「英会話学習」ができる――。タナベさんは、こう掲げるサービスが次々に生まれては、長続きせずに終了する事例を目にしてきた。「こうした理由でこのワードを苦手に思う、その感覚はとてもわかる」と続けた。
henomoheさんは、「メタバースという単語自体には罪はない」と続ける。一方、特定のタイミングで参入する人や企業が急増したのが、ネガティブな印象を持たれるようになった背景ではないかと話す。
メタバースプラットフォームのVRChatや「cluster」は、「ソーシャルVR」「VRSNS」というジャンルと呼ばれることもある。VRデバイスを使ったユーザー同士が交流するサービスを指す。こうしたサービスをひっくるめて「メタバース」と呼ぶよりは、「ソーシャルVR」などと表現した方がよいのか。タナベさんは「使い分けた方が気持ちは良い」と話す。
たとえばオンラインゲームや、メタバースの元祖とも呼ばれる「セカンドライフ」。そしてVRChatやcluster。どれも楽しいサービスではあるものの、サービスがVRに対応しているか否かで毛色は異なる。VRサービスの話をしたいときに、オンラインゲームやセカンドライフも含め、すべてを包括し得る「メタバース」という意味の広いワードを使っても、正確に伝わらないだろうとの指摘だ。