VR民が「メタバース」ブームに感じたもの
記者が22年6月ごろ、cluster上でトークイベントに出演した際、他のユーザーから「一部のVRユーザーは『メタバース』という言葉を快く思っていない」と、リハーサル中に耳にしたことがある。
X(旧ツイッター)でも、VRChatやclusterをプレイしているユーザーが、「メタバース」にネガティブな反応を見せるポストをたびたび目にする。語感が好きではない、言葉として独り歩きしている、といった意見だ。「メタバース」とされるサービスの利用者側が、なぜこう考えるのか。
VRChatユーザーであり、ワールド制作やイベント開催を手がける「いとよ」さんに取材した。自身も、22年ごろまでは「メタバース」というフレーズをユーザーが嫌がる風潮を強く感じていたという。
21年に沸騰した「メタバース」ブームだが、VRChatやclusterは、それ以前からサービスが存在する。古くから親しんでいる「VR民」としては、「自分たちが遊んでいるものを外側の人から(『メタバース』と)名付けられること」に抵抗感を覚えたのではないかと、いとよさんはユーザーの心境を分析する。
また、ブームに乗じて生まれた多数の「メタバース」サービスや企画には、しっかりとした内容を伴わず消えていったものも多く、自分たちが遊ぶVRサービスまでもが同じように「胡散臭い(うさんくさい)もの」だと思われたくなかったのではないか、と推測する。
ただ、「メタバース」というワードも悪い面ばかりではなく、近ごろはVR民にも受け入れられつつあるという。例えば仮想空間に詳しくない人に、自身の活動や趣味について説明するときには、対外的に「メタバース」と伝えれば通じやすい。