11万文字中8割をAIが執筆した本
おざけんさんは、「AINOW」編集長として多忙な日々を送っているだけでなく、複数社のPRやSNSマーケティングなどのコミュニケーション戦略を担い、企業のYouTubeチャンネル運営、デヴィ夫人のTik Tok運営に携わり、カメラマンとしても活躍している。時間が足りないどころの騒ぎではない。
そうしたなかでも、23年9月に著書「生成AI導入の教科書」を発売(出版社 : ワン・パブリッシング)。11万文字中8割ほどを、ChatGPTを駆使して書き上げたという。最近も、正午に終わったあるインタビューの初稿を15時には完成させた。しかも、クオリティにほぼ違和感がない状態に仕上げられたという。もちろんこれも、Chat GPTの助力あっての成果だ。
具体的な手法を明かし、スクリーンで再現して見せてくれた。
(1) AI技術を活用した音声記録管理サービス「CLOVA Note」で、インタビュー音声を書き起こし
(2) データをExcel形式でダウンロード
(3) インタビュー原稿に使う部分・使わない部分を取捨選択。語句の誤りを修正したり、誤字を消したりする
(4) ChatGPTに、「以下のインタビューの内容をブラッシュアップしてください」と指示し、(3)で選んだ「使う部分」をコピーペースト
(5)アウトプットに対し、「もう少しわかりやすくして」など、コミュニケーションを重ねる形で文章にしていく
おざけんさんに言わせれば、ChatGPTは「化粧をする際の下地作り」には長けている。ただし、「その上にどのようなアイライナーを引くか、どのような見た目に仕上げるかという部分には自信がない」。だからこそ、生成AIが作り出した文章をそのまま使おうとするのではなく、編集者になったつもりでChat GPTと向き合い、より良いアウトプットを出してもらうために、きちんと指示をするのが大切なのだ。
他にも、「生成AIの本質とは」、「作るAIから使うAIへ 生成AI活用の可能性」といったトピックを紹介してくれた。詳細は「生成AI導入の教科書」を参照のこと。
おざけんさんは、「人間とAIが共存する社会をつくる」をビジョンに掲げている。それは人が「人らしさ」を磨きながら、多種多様なAIを的確にマネジメントする社会といえるだろう。
デジタルの進化によって、人間の本質が浮き彫りになる時代に、AIを「仕事を奪う相手」と見なして拒絶するか、あるいは「考えなしに、仕事を丸投げできる都合のいい相手」として真価を発揮させずにおくか。それとも人とAIとで役割の棲み分けを図り、適材適所で事に当たるか。ここの判断にも、「人間性」が問われそうだ。
......という記事を作り上げるのに、記者は3時間かかった。正午に終わったインタビューの初稿を15時に書き上げたという、おざけんさんとChatGPTのタッグに、肉薄できただろうか。