サイボウズ「kintone」メタバースブース 「API」活用に挑戦したらまさかの...

提供:サイボウズ株式会社

   サイボウズ社の製品「kintone(キントーン)」。業務日報から交通費申請アプリまで、仕事に役立つシステムを、ブラウザー上ですぐに作れるクラウドサービスだ。

   このkintoneについて発信するブースが、バーチャル即売会「メタフェス2023」(23年11月3日~5日)に出展。同時に、エンジニアに向けて、kintoneの活用体験を応募条件としたプレゼントキャンペーンを実施した。VR記者カスマルも、この企画に挑戦。「アプリ作るの超簡単じゃん!」とドヤ顔をするカスマルを、まさかの展開が待ち受ける――。

  • 「メタフェス」内kintoneブースへようこそ
    「メタフェス」内kintoneブースへようこそ
  • 「メタフェス」内kintoneブースへようこそ

回転ずし風のポップなブース

   「メタフェス」の会場は、メタバースプラットフォーム「VRChat」。クリエイターがバーチャル空間のブース内に自身の作品を展示し、来場者は気に入った商品をすぐに購入できるイベントだ。会場の入り口付近に、kintoneに関する情報を社外の開発者に広める活動をしている、サイボウズ社「DevRel」チームが出展した。

   kintoneのブースは、回転ずし店風の内装。VR記者カスマルは11月4日夜にここを訪れた。DevRelチーム社員の「forks」さん、「w10a」さんがスタッフとして接客し、kintoneやキャンペーンに関して案内している。どちらも、プラモデルや3Dモデルを手がける壽屋(コトブキヤ・東京都立川市)とkintoneがコラボして生まれたアバター「NeKoKo kintone color ver.」に身を包んでいる。

w10a(左)さんとforksさん(右) 頭にはDevRelチームのマスコット「ギョウザドン」が乗っている"
w10a(左)さんとforksさん(右) 頭にはDevRelチームのマスコット「ギョウザドン」が乗っている

   ブース内の奥側左には、丸いボタンと蛇口、そして巨大な湯呑みが備わったコーナーが。回転ずしの卓上で見かける定番のアレだ。

蛇口からはお茶や、kintoneロゴの黄色い雲、そして2進数の「0」と「1」がランダムに出る"
蛇口からはお茶や、kintoneロゴの黄色い雲、そして2進数の「0」と「1」がランダムに出る
forksさん「これは手を洗うやつです」

   いいえ、給湯装置です...。もちろん、ジョークだ。アバター越しに、forksさんがニヤっとしているのが伝わる。現実でこの蛇口に手を出すとやけどしますので、ご注意を。

「kintone API」使うと

   ブースの店頭には、DevRelチームが発行する、kintoneの活用法について書かれた技術系同人誌が3Dモデルで設置されている。手に取り、立ち読み可能だ。

   最新号は「俺の自由研究 - ChatGPT×kintoneでダブルDX!-」。kintoneは「カスタマイズ」機能により、ユーザーがプログラミングを施すと、独自の機能を追加できる。このカスタマイズ用プログラムを、対話型AI(人工知能)「ChatGPT」に作らせられないか試した、という内容だ。

   kintoneとChatGPTを活用してミーティングの音声データを議事録化し、3行のまとめ文とともにアプリに保管する連携方法も案内されている。クリエイター向けマーケットサイト「BOOTH」から購入できる。

技術系同人誌を立ち読み"
技術系同人誌を立ち読み

   途中、ブース内から「あばばばば!」と声が聞こえてきた。目を向けると来場客が湯呑みに入り、蛇口から出てくるお茶をシャワーのように浴びている。

来場客「これ手を洗うやつですよね!」

   いいえ給湯装置です...。このくだりはVRChat界隈での「お約束」みたいなものなんだろうか?

   kintoneは「API」という仕組みを使うと、外部のサービスやハードウェアと連携できる。ブース内では、この「kintone API」の活用例も紹介していた。記者が見ている限り、約2時間の接客中、3~40人のユーザーがブースに訪れた。ブースやキャンペーン内容をきっかけに来場者同士で会話が弾むときもあり、盛況な印象だ。

kintone活用事例 マイコンやセンサーと連携させ、二酸化炭素濃度のデータをkintoneに蓄積"
kintone活用事例 マイコンやセンサーと連携させ、二酸化炭素濃度のデータをkintoneに蓄積

5つの「タスク」をこなせ!

   「DevRel」チームが今回実施した「kintone API 体験キャンペーン」に、forksさん指導のもと、カスマルがチャレンジした。やや難易度が高いが、応募すると抽選で1人にiPad miniが、抽選で2人にBOOTHのダウンロード商品1万円分が当たる(すでに受付終了)。APIを使い、kintoneのアプリ内に外部からデータを送ること――。これが応募条件だ。

   キャンペーン応募の流れは、全5つの「タスク」で構成される。最初の「タスク1」は、「kintoneの開発者ライセンス」の取得。「kintone API」を使ったアプリ開発が目的なら、1年間無料でこの製品が使えるとのライセンスだ。

   「cybozu developer network」というサイトから申し込める。社名や氏名など必要事項を入力。2分ほどで審査が完了し、カスマル専用のkintone環境のURLやID、パスワードが発行された。費用ゼロでkintoneを使える環境が、すぐに手に入った。

   タスク2は、「kintone」でアプリを作成すること。今回は「記事ネタ」案や取材手法を入力し、データとして管理できるフォームを作る。アプリ名は「着手ネタ管理帳」だ。

   アプリ作成ページ左側には「文字列」「チェックボックス」といったパーツがある。これらのパーツを「フィールド」と呼ぶ。組み込みたいフィールドを、右側の空欄にドラッグ&ドロップ。文字入力欄やチェックボックスを組み、各項目の名称をテキストで設定すれば、簡単にアプリが完成する。5分ほどで、できた。

アプリ作成はとても簡単!これで記事ネタ管理も楽に?(以降、画像の一部を修正しています)"
アプリ作成はとても簡単!これで記事ネタ管理も楽に?(以降、画像の一部を修正しています)

   タスク3では、今作ったフォームを使い、レコード(データ)を追加する。架空の記事ネタを4つ、入力した。

フォームを使い、レコードを追加"
フォームを使い、レコードを追加
記事ネタレコードは4つ。すべてフェイクニュースだ"
記事ネタレコードは4つ。すべてフェイクニュースだ

   タスク4は、「APIトークンの発行」。

forksさん「APIトークンは、認証用の『鍵』のような文字列です。これがあれば、kintoneの外部から、このアプリに限って手を加えることができます」

   kintoneアプリ設定の「カスタマイズ/サービス連携」という項目から、「APIトークン」を選ぶと、すぐに発行できる。

チェックボックスにより、このアプリに対してのAPIトークンのアクセス権を簡単に設定できる"
チェックボックスにより、このアプリに対してのAPIトークンのアクセス権を簡単に設定できる

Pythonでは詰まったけれど

   最後のタスク5。これが、最大の難所だ。APIトークンを使い、外部からデータを追加するのだ。

   forksさんによると、サイボウズ社による「ハッカソンでkintoneを使う方法」というブログ記事が手順の参考になる。

forksさん「ここにもう答えが書いてあるようなものなんですけど(笑)」
カスマル「(笑)」
上は普段のアバターに身を包んだforksさん。下はVR記者カスマル"
上は普段のアバターに身を包んだforksさん。下はVR記者カスマル

   やばい、全然わからない。

   記事内の「データの登録方法」という項目に、プログラミング言語「Python」のサンプルコードが書いてある。kintone API経由でレコードを追加するには、これを少し改変してPythonを実行すればいいという。

サンプルコードが出てきた"
サンプルコードが出てきた

   コード改変には、インターネット上でPythonのプログラムを動かせる、米グーグルのサービス「Google Colaboratory」を使用。今回発行したカスマル専用のkintoneのURLや、先ほど取得した「APIトークン」の文字列など、必要な情報を入力していく。

forksさん「『bodydata』の『record』以降に、対象のフィールドコードを入力しましょう」
カスマル「ふぃーるどこーど...?」
forksさん「kintone上で各フィールドの設定画面を開くと、下部に記載されています。さて、『value』には、各フィールドに追加したいデータ内容を指定します」
カスマル「ばりゅー...?」
forksさん「...少々お待ちを」

   途中から完全に理解が追い付かなくなったカスマルを見かねたforksさん。最終的にはコード改変作業の9割をお任せしてしまった。

   一方で、各「value」と「:」記号をはさんで対になっている文字列は、先述のフィールドに入力するデータの内容を意味する。たとえば「date」(日付)のフィールドには、valueとして「2023-11-16」を入力する、という具合で、このコード部分についてはカスマルがなんとか自分で修正できた。

forksさんに手を加えてもらったコード"
forksさんに手を加えてもらったコード

   これを、「Google Colaboratory」上で実行させると...。

実際には全然Pythonをマスターしていない"
実際には全然Pythonをマスターしていない

   しっかりとレコードが追加されている!APIチャレンジ完了だ。なお今回はあくまで取材なので、応募はしない。技術者でないカスマルには難易度の高いチャレンジだったが、そもそもこれはエンジニア向けのキャンペーンだ。APIはあくまで外部ツールと連携したい場合に用いる機能であり、kintoneを運用したいだけならプログラミングは必須ではない。

   またkintoneのアプリ作成自体は、マウスによるドラッグ&ドロップ、キーボードでの文字入力さえできれば、素人でも数分間でお手軽にこなせる難易度だ。アプリのデータは同じ組織のユーザーと共有できるため、カスマルがネタ管理帳を作ったように、ちょっとしたプロジェクトのたびに進捗報告アプリやアイデア共有アプリを作成するのも便利そうだ。

   先述通り、kintone APIでの開発目的なら、1年間無料の「開発者ライセンス」を提供。また特定非営利活動法人(NPO)やボランティア、学生団体など、一定の条件を満たす組織には割安な「チーム応援ライセンス」を用意している。年額9900円(税別、以下同)で、900人まで使える。

   通常の「スタンダードコース」は1ユーザーごとに月額1500円で、最低5ユーザーから契約を受け付ける。30日間、無料でのお試し利用も可能だ。

kintone製品サイト:https://kintone.cybozu.co.jp/

チーム応援ライセンス:https://npo.cybozu.co.jp/team/

開発者ライセンス:https://cybozu.dev/ja/kintone/developer-license/


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