幼稚なテレビ 石野シャハランさんは視聴率偏重の現場を憂う

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退化させ合って...

   ちなみに、シャハランさんの日本人妻はイランのテレビドラマが苦手だという。理由は明快で 「終わりまでずっと暗いから」。それでも日本の「フワフワした番組」よりはるかにマシ、というのが夫の見方のようだ。

   辛辣なテレビ批判である。序盤で筆者が並べた四種の「幼稚番組」のうち、「食べ歩き」と「能天気ドラマ」の受け止め方は視聴者それぞれだろう。私は食べ歩き・飲み歩き系の番組は好きだし、よく見ている。ドラマもピンからキリまでだ。

   一方、バラエティーとワイドショーについては筆者にほぼ同意する。とりわけ娯楽と報道の間を漂う「情報番組」なるものには、時にうさん臭ささえ覚える。

   こうした番組に登場するコメンテーターの仕事は、硬軟あらゆるテーマで気の利いたコメントを手短に発すること。専門性や基礎知識より「スタジオでの運動神経」が重視される。だから芸人が平気で中東情勢を話し、元アスリートがもっともらしく猛暑を語る。

   重宝されるのはアドリブが利き、場の空気を読めるテレビ人だ。司会者に急に振られて口ごもっていれば、たちまちチャンネルを変えられてしまうだろう。

   専門家も呼ばれるが、やりとりの相手はMCを含め素人だから議論は深まらない。こうして国際ニュースが消化不良のまま終わり、続いて芸能ゴシップ、猟奇殺人を挟んで可愛いペット動画、人気のスイーツへと話題はブツ切りで移っていく。

   制作側は視聴者に媚び、そのレベルに合わせ、視聴者は番組に感化され、互いに「退化」させ合っているようにも見える。いまさらテレビに何を期待するのか、という声もあろうが、その影響力はなお侮れない。シャハランさんに言われるまでもなく、関係者の多くがこのままではまずいと考えているはずだ。そう信じたい。

冨永 格

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