なぜVRアバターには猫耳や犬耳が? 専門家とクリエイターに聞くと

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

日本画や漫画史を振り返る

   なぜアバターには獣耳が「生えがち」なのか、今度は茂出木氏に聞く。話によると、獣耳という「動物属性」を付与すると、アバターは「かわいくなる」。そして、「かわいい」ことは「コミュニケーションの増幅(装置)になる」と指摘する。アバターが「かわいい」と、「注意をひきつける」「(他人が)手助けをしたくなる」「甘くなる」といった効果があるという。

   また、動物にはある種の性格的イメージが伴う。犬なら「従順」、猫は「気まま」といったものだ。人間が獣耳を活用するときには、その人物がどのような人間性に見られたいかを暗に伝えるために利用している面があるという。

   では、獣耳は、いつごろから「かわいい」と考えられるようになったのか。茂出木氏は、鳥獣人物戯画などの日本画やディズニー作品、名作漫画や「ドラえもん」、1970年~80年代の作品、アニメを例にとり歴史を解説していく。

   茂出木氏によると、昔の絵画では、動物そのものがモチーフの場合は、鳥獣人物戯画を見ればわかるように、かわいらしくユーモラスなものとして描かれることがあった。他方、人や獣を混ぜ合わせる「獣人化」は恐怖を連想するものとして捉えられていたという。1835年の歌川貞秀の「東海道五十三次之内 岡崎」という浮世絵内では、化け猫とともに猫耳の生えた不気味な人物が描写されている。

   一方、故・手塚治虫氏の作品を見ると、1950~60年代の有名作品「鉄腕アトム」の髪型は獣耳を連想させる部分がある。また他の手塚氏の作品を見ると、獣人キャラクターの描写において、「(人間が)動物化するとかわいい」という感覚を持っていた節があるという。

   漫画家・かがみあきら氏の作品「鏡の国のリトル」の1983年掲載エピソードでは、登場人物の男性が「かわゆい女の子」を想像したときに、猫耳の生えた少女を思い浮かべるシーンがある。つまり、83年の段階で、メディアによっては「猫耳の女の子はかわいい」との感覚が存在していたとの指摘だ。

   こうした「獣耳はかわいい」との文化は、どのようにしてVTuberやアバター文化にも受容されていったのか。詳細や続きのアーカイブ動画は、バーチャ場公式ユーチューブ内から確認できる。

姉妹サイト