沖縄ご当地VTuber・根間うい 取材で明かす「バーチャル観光大使の夢」までの距離

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   沖縄生まれ沖縄育ち、「ご当地バーチャルタレント」として活動するVTuber(バーチャルユーチューバー)がいる。ユーチューブで約9万人のチャンネル登録者(2023年10月31日現在)を抱える「根間うい」さんだ。県内の観光スポットやグルメを実写映像で取り上げたり、県民性などをテーマにしたトーク動画を投稿したりしている。

   10月18日に5回目の誕生日を迎えた根間ういさんの夢は、県公式の「バーチャル観光大使」になることだ。J-CASTトレンドはこの節目に、「夢」と自身の距離をどう感じているか、そして今後の抱負は何かを取材した。

  • 「国際通り」を再現した「バーチャル沖縄」で取材に答える、根間ういさん
    「国際通り」を再現した「バーチャル沖縄」で取材に答える、根間ういさん
  • 根間ういさんが描いた、沖縄の県魚・「ぐるくん」をテーマにしたミュージックビデオ
    根間ういさんが描いた、沖縄の県魚・「ぐるくん」をテーマにしたミュージックビデオ
  • 5年間の歩みを背に(左は「ししごん」さん)
    5年間の歩みを背に(左は「ししごん」さん)
  • 「国際通り」を再現した「バーチャル沖縄」で取材に答える、根間ういさん
  • 根間ういさんが描いた、沖縄の県魚・「ぐるくん」をテーマにしたミュージックビデオ
  • 5年間の歩みを背に(左は「ししごん」さん)

動画内容は地域密着

「『沖縄の魅力発信』をブレないテーマにしています」

   根間ういさんは取材に対し、こう切り出した。

   2019年3月にVTuberとして活動を開始した根間ういさん。2つの輪に巻かれた髪型が印象的で、服のデザインは沖縄の伝統芸能「エイサー」で使われる衣装がモチーフだ。

   那覇市のエンターテイメントコンテンツ会社「あしびかんぱにー」が運営するバーチャルタレントグループ「おきなわ部」に所属。今回の取材の場でもある、観光名所「国際通り」をモチーフにした仮想空間「バーチャル沖縄」は、同社がメタバースプラットフォーム「VRChat」上に再現した。

   2022年3月17日付発表によると、同社は沖縄県民1000人を対象に根間ういさんの認知度を調査。当時「66%」との結果だったという。精力的に続けてきた地元の魅力発信活動は、数字にも結実している。

   1年以内に投稿した動画タイトルを見ると、「沖縄県民が推す至福の沖縄ステーキ店5選!」「沖縄の魅力が詰まった離島を旅する!」など、地元の魅力に密着したものばかりで、言葉通り、活動テーマが一貫しているのがわかる。

   VTuberながら、トレンドを追ってゲーム実況動画を投稿することは基本的にない。とはいえ、「最近ではスイカゲームをやってみたいなと思ったりはしました」と冗談めかして話した。近ごろ流行しているゲームアプリだ。

   10月21日には、沖縄県内でファンミーティングイベントを開催した。約50人の来場者のうち、半分が県外から訪れていたという。全国からファンが沖縄まで足を運ぶ様子に、「今まで続けてきた意味があったんだと感じました」と、「ういんちゅ」(根間ういさんのファンの呼び名)への感謝を交えて話した。

政府からの依頼案件も

   根間ういさんは、デビュー当初から沖縄のバーチャル観光大使を目指してきた。過去には、VTuberのパイオニアとも呼ばれる「キズナアイ」さんが、東京・秋葉原のバーチャル観光大使や日本政府観光局ニューヨーク事務所訪日促進アンバサダーに就任している。根間ういさんが夢を目指す背景には、キズナアイさんへの「憧れ」もあると明かす。

   夢と、自身の現在の距離感を聞くと、「『ようやくスタートに立てたな』という感じがしています」。

   先述通り、活動開始は19年3月。間を置かず、コロナ禍が始まってしまった。県内への観光を積極的に訴求したかったところ、外出自粛が求められる中で「『沖縄に来て』と言えず......」と苦い思い出を振り返る。

   取材に同席した「おきなわ部」のプロデューサー「ししごん」さんによると、コロナ禍により沖縄の観光産業も大きな被害を受けた。アフターコロナでの観光復興につなげるため、根間ういさんは沖縄の魅力発信を続けつつ、他にも地元のための取り組みを実施した。

   例として、20年4月に、コロナ禍により販売先がなくなってしまった沖縄現地の食品セットを約半額で売り出す「沖縄物産支援プロジェクト」を立ち上げた。VTuberという特性を生かし、ユーチューブやツイッター(現X)でプロジェクトの情報拡散を行なった。

   21年には、コロナ禍で疲弊する人々を沖縄の音楽で元気にしたいとの思いから、うるま市出身の人気バンド「HY」とコラボした楽曲「青々」を制作。同年8月にミュージックビデオを公開している。

   今年5月になって、新型コロナは感染症法上の位置付けが5類に移行し、以前のような行動制限はなくなった。近ごろはバーチャル上だけでなく、リアルイベントへの出演が増えてきたという。

「ようやく『沖縄に来て』と声を大にして言えるようになったのが、この1年」(根間ういさん)

   ししごんさんによると、近ごろは内閣府から観光施策「全国旅行支援」のプロモーションや、火災で正殿が消失した首里城の復興支援のPR依頼などが寄せられているという。「沖縄の観光支援や、文化保全につながる取り組みも最近すごく増えてきました」と続けた。

変わるものと変わらないもの

   コロナ禍に振り回され、オンラインにリアルイベントにと、さまざまな活動に身を投じてきた根間ういさん。バーチャル観光大使という夢に向けての、今後の抱負は。

「ここ5年間でVTuberという概念自体、大きく変わったと思います。動画勢(動画投稿を主な活動とする人)が減って、ライブ配信が増えたり、人間さん(実写で活動しているタレント)がVTuberとしてデビューしたり。数年であっという間に変わっていくので、時代に合わせた発信をしていきたいです」

とはいえ、変わらないものもある。

「沖縄の魅力発信というところだけはブレずに、今後もやっていくのが目標です!」
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