メタバースや3Dゲームなどに設置された仮想のビジョンに、広告動画を流せるサービスが登場している。メタバース広告プラットフォーム「Ad-Virtua(アドバーチャ)」だ。同名の企業「アドバーチャ」(東京都渋谷区)が開発、運用する。
2023年6月1日にリリースした。同社の10月23日付発表によると、サービス開始から142日後の10月22日、アドバーチャの広告動画の再生数は計100万回に達した。代表の水野征太朗氏に取材すると、10月初め時点では、広告の再生回数は40万回程度だったと話す。
ゲーム実況系配信者に取り上げられると
「アドバーチャ」では、ゲーム開発エンジンとして有名な「Unity」向けに、ゲーム内に埋め込める専用の仮想モニターを配布している。アドバーチャに参加し収益を得たいゲーム開発者は、Unityで開発した自身の3Dゲームやメタバースに、このモニターを設置する。
広告主が動画広告をアドバーチャに出稿すると、「ランダムプラン」では登録時に選択したターゲットの性別や年齢層などから、最適なメタバースやゲームとマッチングし、動画が流される。
「指定配信プラン」を選ぶと、広告を流したいメタバースを任意で選ぶことも可能だ。発表によると、「ランダムプラン」では利用料1万円につき、1万5000~3万回の視聴回数を想定している。
例として、鳩を操作してメタバース空間内を動き回れる、スマーフォン向けメタバースアプリ「ハトバース」。シュールなゲーム性が2022年に話題になった。舞台である森の中にアドバーチャのモニターが設置され、動画広告が流されているのが確認できる。
現状、類似のサービスはあまり例を聞かない。水野氏は「長期的なビジョンとして、(アドバーチャを)『メタバース広告』の代名詞にしたい」と語る。10月23日時点で、300以上の仮想ビジョンを様々なゲーム・メタバースに設置しており、参加する開発者は100人近いという。ただしサービス黎明期で、広告主側はまだ事例が多くないとのことだ。
リリースによると、メタバース広告には3つの強みがある。まず、広告主のブランディング向上のためにメタバース広告が高い効果を発揮した事例が、国内外で報告されている。また、ゲーム実況動画の配信者がアドバーチャを導入したゲームを取り上げた場合、動画による拡散効果が見込める。
広告として「嫌われない」というメリットもある。スマートフォン向けアプリなどではゲームを強制的に中断させて広告が表示されることが多いが、アドバーチャであればユーザーの操作の手を止めることなく、動画広告が流れるからだ。
有名ユーチューバーが10月に投稿した動画で、アドバーチャを採用したゲームを取り上げた事例を水野氏が教えてくれた。このときの広告動画はアドバーチャそのものを宣伝する自社広告だったが、動画の投稿日には、アドバーチャ公式サイトへのアクセスが4倍になったという。