奇想、血みどろ絵、画鬼、光線画 幕末明治の「個性的な絵師たち」が一堂に

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漫画やアニメにも通じる

   第1章では、狩野一信(1816~63)の巨大な「五百羅漢図」に驚かされる。極彩色の強烈な画面だ。西洋絵画の遠近法や陰影を取り入れている。渡辺崋山(1793~1841)が描いたギリシャ医学の偉人、ヒポクラテス像も登場する。第2章では、安田雷洲(?~1859)。彼が描く赤穂浪士の群像は、オランダで発行された聖書の「羊飼いの礼拝」挿絵を原図にした洋風画だ。

   多くの美術ファンにとって注目度が高いのは、第3章と4章だろう。

   3章では江戸後期に輩出した奇想の画家の代表格、歌川国芳が登場する。大胆な構図やデフォルメは、現代の漫画やアニメにも通じる発想の斬新さがある。半世紀ほど前に「奇想の画家」の一人として再評価の機運が高まり、今や絶大な人気を誇る。

   4章では、月岡芳年、河鍋暁斎、小林清親ら。芳年の血みどろ絵は一度見たら忘れられない。「無惨(むざん)絵」という代名詞まである。今年8月22日から来年2月18日まで、「二人の天才 ―葛飾北斎・月岡芳年―」展が大阪浮世絵美術館で開かれている。

   「画鬼」と称された暁斎は、卓越した描写力で知られた。反骨精神の持ち主で、多くの戯画や風刺画も残している。2019年にはサントリー美術館で、「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展が開かれた。

   清親は、光を巧みに使った「光線画」と呼ばれる新しい風景画を考案。「明治の広重」と呼ばれることもあった。21年には東京の練馬区立美術館で作品展が開かれている。

   本展の出品作品は約170件。江戸から明治へ、そして現代にもつながるこれら異能の絵師たちの画業を、ひとまとめに通観できる。図録も充実している。会期は12月3日まで。

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