「事務所所属まで7年かかった」声優が明かす 養成所で「すべきだったこと」

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【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招き、山下さんがMCとなって、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?

   第31回のゲストは、声優・タレントプロダクション「B-Box(ビーボックス)」に所属している声優の田村僚佑さん。KBCラジオドラマ「下町ロケット」で、真野賢作および柏田宏樹役を、YouTubeで連載中のボイスコミック「七星くんと委員長」で有栖川要織(アリスガワイオリ)役を演じている。

   テーマは「『事務所所属に7年かかった』声優が明かす 養成所で『気配りアピール』よりすべきだったこと」。スペースアーカイブはこちらから。

  • 田村さんの姉の結婚式でのスピーチ。声優を目指してから初めて人前で行ったパフォーマンス
    田村さんの姉の結婚式でのスピーチ。声優を目指してから初めて人前で行ったパフォーマンス
  • 田村さんが現在出演中のラジオドラマ「下町ロケット」
    田村さんが現在出演中のラジオドラマ「下町ロケット」
  • YouTubeで連載中のボイスコミック『七星くんと委員長』にて、田村さん僕が演じている「有栖川要織(アリスガワイオリ)」
    YouTubeで連載中のボイスコミック『七星くんと委員長』にて、田村さん僕が演じている「有栖川要織(アリスガワイオリ)」
  • 学生時代は、軽音サークルでベースを弾いていた
    学生時代は、軽音サークルでベースを弾いていた
  • 朗読劇に出演したときの一枚
    朗読劇に出演したときの一枚
  • 田村さんの姉の結婚式でのスピーチ。声優を目指してから初めて人前で行ったパフォーマンス
  • 田村さんが現在出演中のラジオドラマ「下町ロケット」
  • YouTubeで連載中のボイスコミック『七星くんと委員長』にて、田村さん僕が演じている「有栖川要織(アリスガワイオリ)」
  • 学生時代は、軽音サークルでベースを弾いていた
  • 朗読劇に出演したときの一枚

「芝居力で勝負」という、本当の意味

   田村さんは大学卒業後に上京。それまで全く演劇は学んでこなかったため、右も左もわからないままに声優の養成所へ入った。芝居の勉強はもちろん、筋力トレーニングをしながらの発声練習など、基礎体力作りにも励んだという。

   現在所属している事務所に入るまで、いくつかの養成所で修行し続けること計6年――多くの講師・生徒に知り合えた分、多様な価値観に触れられたのがよかった、と振り返る。「『型破りなこと』をしたくなる人が多いが、基礎ができていなければ、それはただの『形無し』」「悪い役でも愛されなさい」など、今でも大事にしている教えも、この間にかけられた言葉だ。

   ただ、「自分は養成所に長くいすぎてしまった」と田村さん。

「すごく上手い人なら、養成所に通いながら仕事をしますし、1年ですぐ事務所に入ります。長くても、2年か3年くらいで一区切りというところが多い」

   なぜ6年もいたのか、と山下さんに問われると「俺の芝居が下手、だったから......?」とぽつり。現在進行形で挫折を幾度となく繰り返しつつ、それでも「辞めない理由」を支えにしてきた。

   養成所での日々は常に、「他の生徒との競争」でもある。そのため田村さんは、「自分が目立てばいい、という芝居をしがち。(養成所に)通いすぎて、変な『我』が生まれてしまった」。自分よがりになってはいけない、と肝に銘じているそうだ。

   また周囲の芝居の上手さ、自分との実力差に焦り、「芝居以外」でのアピールに走ったことも反省点として挙げた。例えば、授業に必要な「マイクスタンド」などの備品を率先して持ち運ぶといったことだ。「何もせず、全部周りに任せればいいという考えもいけないが」と前置きし、田村さんはこう続けた。

「気配りで成功すると、『気配りすれば見てくれる人がいる』と思って、芝居に本腰を入れなくなる。芝居を身に着けるために養成所に通うのだから、そこに力を入れるべきだった」

   田村さん曰く、「事務所に所属している人はみんな、気配りができる」。前提が同じなら、後は芝居力での勝負だ。

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事務所のYouTubeチャンネルでボイスサンプルを作ったときの一幕
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