「とか」のルール 壇蜜さんは父親に直された用法にこだわる

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近年の用法

   広辞苑で〈とか〉を引くと...〈例示し列挙するのに用いる。例示する事項のあとに一々つけるのが本来だが、最後の例示のあとには付けないことがある〉。つまり「AとかBとか」が本来で、「AとかB」もありだ。

   さらに「近年の用法」として〈一つの物事だけを挙げ、他を略す、または特定しないで言う表現〉とあり、例文として「コーヒーとか飲んだ」が添えられている。岩波国語辞典にも〈1980年ごろから、つけるまでもない文末に添えて、自分の発言の責任を内容とともにぼかす用法が若い世代で広まった〉とある。

   すなわち、壇蜜さんが矯正された用法が、今では認知されているということだろう。言葉は生き物、新たな用法が次々に生まれ、流布されていく。

   「彼氏とかいます?」と言わせる心理について、壇蜜さんも「特定を避けたい」「ぼやかしたい」のではと推測する。「彼氏いるの?」に比べ、ブシツケ感が少し薄められるのは事実だ。くだけたやり取りの中で、緊張を排し、自他を傷つけることなくフワフワと会話をつなぎたい、という優しさのなせる業かもしれない。

   他方、壇蜜さんが「ご用心」と戒める通り、使いすぎは話者を幼く見せる。入社面接とか、目上の人との会話ではなるべく避けるのが無難と思われる。

   感心したのはお洒落な末尾だ。なるほど、親指から薬指まで順番に折っていけば小指が立った状態で残る。〈とか〉を「正しく」使ったその女性が、筆者にはそれだけチャーミングに見えたのか...言葉にすればキュンとか、ドキリとか。

冨永 格

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