東京都渋谷区の長谷部健区長は2023年10月5日の記者会見で、国内外に向け「ハロウィーン目的でハロウィーン期間に渋谷駅周辺には来ないでほしい」と呼びかけた。多くの人が押し寄せての事故や路上飲酒によるトラブルを危惧してのものだ。
そんななかKDDIと渋谷未来デザイン、渋谷観光協会はメタバースイベント「バーチャルハロウィーン2023」を10月27日~31日に開催すると発表。渋谷未来デザインと渋谷観光協会の10月16日付発表によると、現実以外での渋谷の楽しみ方として「Stay Virtual」というテーマを掲げ、渋谷区と連携しながらイベントを実施するとしている。
新型コロナ5類移行後初のハロウィーンで
渋谷区は2019年から、「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」に基づき、ハロウィーン期間や年末年始での路上飲酒や迷惑行為を禁じている。
23年のハロウィーンは新型コロナウイルスの5類移行後初で、コロナ前かそれ以上に増えつつある観光客の数に区は警戒を強めている。
2022年10月には、韓国ソウルの梨泰院(イテウォン)で大規模な転倒事故が起きた。長谷部区長は、先述の会見で「(梨泰院と)同様の事故がいつ(渋谷で)起きてもおかしくない」と危惧を示す。
安全のためハロウィーン期間中には昨年より5割増やした約300人の警備員を配置するとともに、駅周辺のキオスクやコンビニエンスストアなど、約35店舗に酒類販売の自粛を依頼しているなどと対策内容を語った。
渋谷区公式ユーチューブチャンネルでは「渋谷はハロウィーンのイベント会場ではありません」とのメッセージを掲げた啓発動画を掲載。英語と日本語で「STAY AWAY FROM SHIBUYA」(渋谷からは離れましょう)とつづっており、区の緊張感が伝わる。また10月27日~31日の間、駅周辺の指定エリアについて18時~翌5時の路上飲酒を禁止している。
「Stay Virtual」なるか
バーチャルハロウィーンは19年から実施しており、今回が4回目の開催だ。都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」「バーチャル大阪」を会場としている。
「Stay Virtual」達成に重要なポイントは何だと考えるか、渋谷観光協会に取材した。今回は「お客さまがより(バーチャルハロウィーンに)参加したくなるように」、計10組以上のアーティストや芸人による音楽・お笑いライブの開催や、ファンミーティングイベントなどを実施するという。
渋谷未来デザインの発表によると、23年はKDDIのメタバース「αU metaverse」で初開催し、アーティストや配信者と交流できるイベントを用意。
音声会話を中心として、「推し」とファンやファン同士の新たな出会い、交流の場として「これまで以上に密なコミュニケーションを実現」するとのことだ。
またこれまでは一部配信者のみに開放していた「ライブ配信」機能が、誰もが使えるようになり、自由にバーチャル空間での配信ができるという。一般開放により、ライバーとファンがともに「過去最大規模のコミュニティを作りあげるイベントを開催」するとしている。またライバーはファンから寄せられるデジタルプレゼント(投げ銭)を通して収益が得られる仕組みとのことだ。
メタバースを通して、現実の渋谷ハロウィーンへの訪問減につなげられるか。