「アレ」の効用 中沢新一さんが注目する「山言葉」との類似

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優勝インタビューで

   タイガース優勝と、話題の「アレ」...そんな大衆的トピックを、マタギが使う山言葉に重ねて論じる中沢コラム。ジャーナリズムとアカデミズム、俗と聖の案配が絶妙だ。

   冒頭に登場するマタギとは、広辞苑によると〈東北地方の山間に居住する 古い伝統を持った狩人の群。特に秋田またぎは有名〉と。ついでに、山言葉は〈猟師などが山に入った時に限って用いる忌言葉(いみことば)。山中以外では使わない〉とある。

   中沢さんの分析にある狙いを、どれほど自覚しての「アレ」なのかは監督に聞くしかない。ただしチームとファン、地元メディアなどのトラ・コミュニティで「優勝」が禁句になった結果、選手らのプレッシャーが減じたのは想像に難くない。

   9月14日の優勝インタビューで、「アレ」なる表現について問われた監督。「まさかここまで浸透するとは思わなかった。まあ アレは今日で封印して...みんなで『優勝』を分かち合いたい」と。ここで、満員の甲子園球場が大きく沸いた。獲物を追う間の沈黙と、倒した後の喜び、静と動の鮮やかな対比である。そして続けた。

   「アレは優勝までだったんで、日本一は決めてないんですよ 言葉をね。なんかいい言葉があれば教えてほしい」...中沢説の通り、今度は爆笑が球場を包んだ。「ソレ」の前段となるクライマックスシリーズに18日、いよいよ岡田阪神が登場する。

冨永 格

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