リアルとバーチャル「やってはいけない」の境界線 識者に見解を聞く

VRならではの「おふざけ」

   企業のキャラクターなどを勝手にアバター化したり、他人のアバターを無断で複製して使ったりするなど、制作物や著作権の侵害行為もVRではアウトだと水瀬さんは指摘。VRユーザーの間ではこうしたケースには注意し、「(著作権侵害行為は)なくそうと働きかける風潮がある」と言う。

   メタバースではアバターや空間、3Dモデルの制作など、単なる利用者にとどまらず「クリエイター側に回る人が多い」ため、権利意識が高い傾向があるのではと分析した。

   さて、「VRでは許される」としたらどんな行為だろうか。水瀬さんは、他人への傷害や侵害を伴わない「おふざけ」は、原則問題ないと考える。例として、「おじさん回し」というVRChat上にある遊びを挙げた。中年男性をかたどった3Dモデルを手に持って回し、最後は高所から地面に「おじさん」を突き刺すというアクティビティーだ。もちろん「おじさん」は特定のユーザーではなく、単なる3Dの物体。少々強烈に聞こえる「おふざけ」だが、ユーザーの間では「伝統芸能」と呼ばれ親しまれているようだ。

   他に「現実ではできないがVRだからこそできる遊び」は何か。記者が聞くと、「飛行機に搭乗し、撃ち合うこともできる。(VR上には)なんでもあるので、何かと言われるとむしろ難しい」とした。

   とはいえ、迷惑や被害を受ける人がいなければただちに「なんでもあり」、ではない。前出の通り、メタバース空間の運営側の定めに従うことが大前提。バーチャル大阪で飛び込みが禁じられているのは、その一例と言えよう。

   水瀬さん自身は「あまり(仮想の川へのダイブを)問題とは思わない」と考える。半面、当該ワールドが存在するclusterでは10代など若い年齢の人が比較的多いため、「(飛び込みを見た若い人が現実世界で)まねるケースがあってはならないとの配慮なのかもしれません」と推測した。

   なおJ-CASTトレンドが以前、バーチャル大阪運営の「未来大阪プロジェクト」担当者に取材したときには、国内外から訪れた人が、飛び込み行為が当たり前のことだと誤解を生まないよう禁止としているとの説明だった。

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