アップルのライバルになり得るか
気になるのは、Mate 60シリーズがファーウェイのスマホ事業にどの程度「復権」の機会をもたらし、22日に発売されたiPhone 15のシェアをどの程度食うかだ。
昨年秋に発売されたMate 50シリーズの累計出荷台数は1000万台弱だったが、「アップルの予言者」として知られる天風国際証券のアナリスト郭明錤(ミンチー・クオ)氏は、Mate 60 Proの出荷台数は年内に550万~600万台に達し、1年後の累計出荷台数は1200万台を超えると予測する。
クオ氏は、Mate 60 Proの需要と市場に対する影響力は大きく、非商業的リスクを考慮しなければ、ファーウェイの2023年のスマホ出荷台数は前年比65%増の3800万台、2024年は少なくとも6000万台に拡大する可能性があるとの見通しを示した。
テックインサイツもMate60Proなどの販売が伸び、ファーウェイのスマホ出荷台数は2023年に前年比4割増の3500万台に達すると予測する。
ファーウェイのスマホ出荷台数が、ピーク時の2019年には2億4000万台に達したことを考えると寂しい数字だが、スマホ市場が縮小し、アップル以外の各社が販売を落としている中でシェアを伸ばせれば、インパクトを与えられるだろう。
また、米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米投資銀行アナリストのマーチン・ヤング(Martin Yang)氏は、Mate 60シリーズの登場によって、アップルのiPhone出荷台数は2024年に1000万台減少する可能性があると分析した。
12日(米東部時間)に発表されたiPhone 15シリーズは、中国でも15日に予約受け付けが始まり、アリババのECサイト「Tmall(天猫)」ではiPhone15 ProとiPhone15 Pro Maxの初回分が1分間で品切れになった。発売日の22日、上海のアップルストアでは受け取りに来た人が長い列をつくった。「驚きがない」「熱狂とは程遠い」との評価が多かったiPhone 15だが、固定ファンは健在で大こけは考えにくい。
だが、ファーウェイが詳細を語らないにもかかわらずMate 60がそれなりの戦績を残すことができたなら、アップルの中国戦略は見直しを迫られるだろう。
郭明錤氏はX(旧ツイッター)で「ファーウェイの復帰は消費者にとっては良いことだ。アップルは快適な場所から出て、より積極的にイノベーションを発揮するよう迫られることになる」と投稿した。
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