自分を甘やかそう 玉置妙憂さんがガンバリ屋に勧めるひと休み

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肩書への信頼

   気持ちがすっと軽くなる、妙憂師の誌上説法。今回はひと休みのススメである。時には自分を甘やかし、あえて頑張らない時間も必要だ、ある程度の余裕を残しておかないと 人助けもままなりませんよと。

   玉置さんはまず「つらい時や困った時は休もう」と提案する。それでも休むことに抵抗のある「まじめなあなた様」のために「自利と他利」の話を引き、休みの利点を説く。そんな二段構えで、つい頑張ってしまう日本人の思考をほぐしてゆくのである。

   「ご自分の存在理由」「他人様の利益」「あなた様ご自身」「満たして差し上げる」といった丁寧な言葉遣いが、読む者の心奥に論旨を運び届ける。ラジオの電話相談や講演活動で培った、語りのノウハウだろう。

   心が疲れたら休もうという「教え」そのものは常識的で、特段の目新しさはない。しかし、看護師にしてケアマネージャー、そして高野山真言宗の僧侶という 唯一無二の肩書が、一行一行に説得力を与えている。

   時に、「何を語るか」と同等以上の重みを持つのが「誰が語るか」だ。同じような情報や助言、意見でも、発信者の信頼性が その伝播力や浸透力を左右する。自己プロデュースの力量といい、玉置さん、なかなかの「独りメディア」である。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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