肩書への信頼
気持ちがすっと軽くなる、妙憂師の誌上説法。今回はひと休みのススメである。時には自分を甘やかし、あえて頑張らない時間も必要だ、ある程度の余裕を残しておかないと 人助けもままなりませんよと。
玉置さんはまず「つらい時や困った時は休もう」と提案する。それでも休むことに抵抗のある「まじめなあなた様」のために「自利と他利」の話を引き、休みの利点を説く。そんな二段構えで、つい頑張ってしまう日本人の思考をほぐしてゆくのである。
「ご自分の存在理由」「他人様の利益」「あなた様ご自身」「満たして差し上げる」といった丁寧な言葉遣いが、読む者の心奥に論旨を運び届ける。ラジオの電話相談や講演活動で培った、語りのノウハウだろう。
心が疲れたら休もうという「教え」そのものは常識的で、特段の目新しさはない。しかし、看護師にしてケアマネージャー、そして高野山真言宗の僧侶という 唯一無二の肩書が、一行一行に説得力を与えている。
時に、「何を語るか」と同等以上の重みを持つのが「誰が語るか」だ。同じような情報や助言、意見でも、発信者の信頼性が その伝播力や浸透力を左右する。自己プロデュースの力量といい、玉置さん、なかなかの「独りメディア」である。
冨永 格