通信制高校のN高校、S高校で実施している教育プログラム「メタバース学園ドラマ制作プロジェクト~未来の学校生活をVR空間で描く~」。メタバースプラットフォーム「cluster」を使って生徒が制作した作品の上映会が、2023年9月21日に東京・秋葉原で開催された。
角川ドワンゴ学園がFacebook Japanと連携し展開する、次世代XRクリエイター向け教育プログラム「Immersive Learning Academy」の一環だ。生徒が自らシナリオを考え、3D空間を作り、アバターで演技し、映像を編集。アイデアあふれるドラマ4作品がお披露目となった。
生徒や教師がいつの間にかAIに
生徒が5人ずつの4つの制作会社(チーム)に分かれ、脚本や編集などチーム内で役割を分担。VR空間を舞台に未来の学園生活を描いた約5分間のドラマを作る。特別講師にアニメーション映画監督・細田守氏、「バーチャル建築家」番匠カンナ氏、作家や俳優として活躍する山田由梨氏を招き、6月にキックオフイベントを開催して始動した。
以後、約3か月を経て完成した学園ドラマ。最初の上映作品は、VRを使いこなせる人を魔法使いにたとえ、メタバースの魅力を伝える「ひらけゴマ!」だ。途中で主人公が上空へ向けて放つ花火のような魔法を、天高く追いかけ続けるカメラワークは臨場感あふれる。
次は、SFサスペンス「human?」。人間の代わりにメタバース上の学園で授業を受けてくれる「代理AI(人工知能)」の利用が流行しているという設定だ。主人公はある日、ほかのユーザーの正体が人間かAIかを見分けるツールを入手する。すると、ほかの生徒たちだけでなく、教師までが代理AIだったことに気付く。そして、主人公の親友さえも――。
ユーザーの名前をアバター上に表示するclusterのネームプレート機能を使い、人間なら名前に「human」、代理AIなら「AI」と表示するという、メタバースならではの工夫した表現が印象的だ。