プロ野球・阪神タイガースの18年ぶりとなったセ・リーグ制覇。優勝決定に沸き立つなか、「リアル」ではなくメタバース(仮想空間)に再現された大阪・道頓堀川に飛び込もうとしたら「バーチャルでも飛び込んだらアカンよ!」のメッセージ――。
優勝決定の2023年9月14日夜、こんなできごとがX(旧ツイッター)上で話題になった。大阪府と大阪市がメタバースプラットフォーム「cluster」に公開している「バーチャル大阪」で飛び込むと、上述の警告文が表示されたというものだ。VRとはいえなんでもあり、とはいかないようだ。運営に話を聞いた。
大阪府警とも相談して
道頓堀を仮想空間に再現する試みはいくつかある。J-CASTトレンドでは阪神の優勝当日、メタバースプラットフォーム「VRChat」上にある「Virtual Dotonbori in OSAKA」(バーチャル道頓堀)で、ユーザーが集まっての飛び込みイベントが実施された様子を伝えている。こちらは、「VRChat関西部」というユーザーコミュニティーが制作、公開している空間だ。
こちらでは道頓堀川に飛び込んでも警告メッセージは表示されず、アバターが空間の入り口にもどされるだけだ。しかし、大阪公式でclusterに2021年12月から公開されている「バーチャル大阪」では異なる。
実際にバーチャル大阪に入り、「新市街」というエリアに向かう。ここで、道頓堀や戎橋が再現された場所に行ける。ここから川に飛び込むと、先述通り「バーチャルでも飛び込んだらアカンよ!」と関西弁の警告メッセージが。文言は、「安全に気をつけて大阪を楽しみましょ。 大阪府・大阪市・KDDI共同企業体」と続く。
バーチャル大阪を運営する「未来大阪プロジェクト」担当者の齋藤氏に取材した。「飛び込んだらアカンよ!」の警告文は、公開当初から設定している。一般的に道頓堀では飛び込み行為を禁止しているため、プロ野球優勝時に限らず、「大阪府、大阪市、大阪府警、と相談し、バーチャル側でも注意喚起を実装しておりました」とのことだ。
「飛び込み行為がスタンダード」と誤解されないよう
バーチャル大阪は、大阪・関西万博(2025年)開催に向け、大阪の魅力を発信するために大阪府や大阪市と共同で構築したワールドだ。齋藤氏によると、「国内外の方にご来場いただいており、今後も増加を見据えて」いる。
それにあたり、「この飛び込み行為がスタンダードだと誤解を生まないよう、リアル側と同様に飛び込みは『禁止』ということを訴求させていただいております」と説明する。
阪神の優勝時には、この警告メッセージが表示される様子がX上でユーザーによって投稿されて話題になり、2万回以上リポストされた。齋藤氏に聞くと、まず大阪府、大阪市、未来大阪プロジェクトとしても阪神の優勝を喜んでいる。そのうえで、メッセージに想像以上の反響が寄せられ驚いているという。
バーチャル大阪の認知も高まり、より一層、同ワールドを通じた国内外への大阪の魅力発信を進めていきたいと語った。