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便秘じゃ済まない「即入院」の腹痛 再発の可能性も...症状の正体

【連載】お腹トラブル天国と地獄 ~運命の選択~

   40代男性の学さんは、普段からうんちが詰まりがち。いつものように便秘で腹痛、と思ったら、今回は様子が違います。なんと、深夜に救急車を呼ぶほどの激痛に...。

   再発の可能性があると言われた学さん。今後どうすればいいのでしょうか?

  • 便秘どころか、深夜に救急車を呼ぶほどの激痛
    便秘どころか、深夜に救急車を呼ぶほどの激痛
  • 便秘どころか、深夜に救急車を呼ぶほどの激痛

退院まで4日間の絶食

   学さんが仕事中にタバコ休憩をしていると、少しお腹に違和感が。普段から1日1箱程度は喫煙するのですが、タバコを吸うと便意をもよおすことがあるため、今回も「うんちタイムかな」と急いでトイレへ。しかし、排便後もお腹の違和感はなくなりません。それどころか、だんだんと痛みが増していきます。

   数日たっても治らないどころか悪化し、遂に発熱。仕事を休み安静にしていましたが、その日の夜中に激痛に耐えられず救急車を呼びました。病院に着くと、即入院です。

   4日間の絶食と抗生物質の投与を行い、ようやく退院できました。しかし、医師は再発する可能性を指摘したのです。

   いつもの便秘だと思っていたのに、どうしてこんなことに?退院後の学さんがこの苦しみに再び見舞われないためには、「喫煙を控える」「乳酸菌を含むヨーグルトを食べる」のどちらを実行すべきでしょうか。

なくならない再発リスク

   今回の学さんの症状は、「大腸憩室炎」によるものでした。便秘などが原因で大腸の一部分に袋状のくぼみができてしまい(大腸憩室症)、そこに細菌感染による炎症が起こると痛みや発熱を起こす病気です。

   絶食と抗生物質の投与により炎症が治れば、退院して普段通りの生活を送れます。しかし、外科的手術を行わない限り、憩室そのものは大腸に残り続けるため、炎症が再発する可能性があります。

   特に、学さんのように症状が起きてから診断され、手術などを行わない保存的治療を行った場合は、再発率が47%程度と高くなります。そのため、一般的には便秘や腸内環境改善に向けた生活習慣の見直しが勧められます。

   大腸憩室炎の発症や再発の原因は、はっきりとはわかっていません。その中でも、喫煙は再発因子のひとつになっている可能性が示唆されています。欧米の研究では、喫煙者と非喫煙者を比較すると、喫煙者の方が大腸憩室炎の再発率が高くなっていたという研究結果もあります。つまり、クイズの正解は「喫煙を控える」となります。

   「乳酸菌を含むヨーグルトを食べる」は、今回は不正解。乳酸菌やビフィズス菌といったプロバイオティクスは、抗生物質による腸内環境の乱れを改善する効果は見込めます。しかし、大腸憩室炎の再発予防につながるエビデンスはありません。

食の欧米化が背景

   大腸憩室は、年齢を重ねるごとにできやすくなることがわかっています。欧米と比較するとまだ発症率は低いですが、近年国内でも増加傾向にあります。背景には、食の欧米化による食物繊維量の減少で、便秘や腸内環境が悪化する要因が増えていることがあります。

   大腸憩室ができるだけなら痛みなどはありませんが、学さんのようなリスクを抱えることになります。日頃から快便を保つことを意識して生活したいですね。

(文・イラスト:長瀬みなみ)