インフルエンザの感染が急速に広がっている。夏休みが明けて授業が再開されたばかりだというのに、各地で学校閉鎖や学級閉鎖が伝えられている。新型コロナとダブルパンチとなって、学校や医療現場も苦戦を強いられている。
「すでに流行期に入っている」
インフルエンザは5類感染症。現在の新型コロナと同じように、感染状況は定点医療機関当たりの患者数で示されている。
国立感染症研究所のまとめによると、2023年9月4~10日の定点当たり報告数は4.48人となり、前週の定点当たり報告数2.56人よりも大きく増加した。
東京都の場合、定点の1医療機関あたり5.96人。前の週の2.95人から一気に2倍になった。流行開始の目安である1.0人を大きく上回っている。この期間の都内公立学校の学年閉鎖や学級閉鎖は計53校にのぼる。
同じように急増している県が増えている。
テレビ静岡によると、静岡県内の定点医療機関あたりの患者数は4.79人。前週の2.19人の2.2倍になっている。その前々週の8月21~27日は1.44人だったので急増しつつある。9月4~13日で小学校44校など63施設105クラスが学級閉鎖になっている。静岡県は14日、「すでに流行期に入っている」として注意を促す危機管理情報を出した。
熊本県も前の週の2.22倍、長崎県も2.25倍になっている。
夏は収まることが多いのに
都道府県別では沖縄県がトップ。1医療機関あたり13.43人。注意報の発表基準である10人を超えた。長崎県(8.80人)、千葉県(8.58人)、福岡県(7.56人)が続いている。
沖縄テレビによると、感染者は5歳から9歳が最も多く、次いで10歳から14歳、1歳から4歳と子どもたちの間で感染が広がっている。学年閉鎖や学級閉鎖は合わせて13件。
感染は全国的に広がっており、東北地方では宮城県が1医療機関当たり7.34人。前週の1.8倍に増えているのが目立つ。
インフルエンザは通常、11~12月に流行が始まり、1~2月がピークになる。夏季は収まっていることが多い。ところが、今年は8月でも、流行の開始とされる「1」以上になっている県が少なくないうえ、9月に入って一気に感染が拡大しつつある。
宮城県のミヤギテレビは、「この時期のインフルエンザは例年ほぼ0なので困惑している」という県の担当者の声を伝えている。
インフルエンザによる学級閉鎖がこの時期に多発している理由について、静岡県感染症対策課の担当者は、テレビ静岡の取材に、「直近2年間は新型コロナ対策の効果でインフルエンザの流行がなく、免疫をもたない小児が多い」「コロナの5類移行後、マスク着用が自由になったり人流が増加した」ことなどを挙げている。