当時は強がって言えなかった、お金の話
DJ Nobbyさんは40歳でフリーになり、今は「複業」をしている。ラジオDJは長らく趣味としてやってきたため、時間も金もかけたそう。
並々ならぬ情熱が伝わるエピソードを一つ、披露してくれた。30歳から始めた、ミュージシャンを招く番組「DJ Nobby's TOKYO LIVE」についてだ。普通にやっていては誰も認めてくれないだろう、と思ったDJ Nobbyさんは、コロナ禍前まで年に1度のペースで、「有名ライブハウスやホールを貸し切り、番組に出演したインディーズミュージシャンたちをステージに上げる」取り組みを続けていた。
ただ、そうした場所を満席にするのは難しく、満席になったとしても採算が取れない価格設定にしていたため、「当時は強がって言っていなかったんですけど、差額はほぼ自分でかぶっていた(笑)」そう。
「今から数えたら恐ろしいくらいの金額になるでしょうが...ある程度は投資という感じでやらないと、仕事としてかえってくることもなかったのかなと、今になって思います」
すごい覚悟だ、と山下さんは驚いたが、DJ Nobbyさんは「自分では全然そう思っていなかった」と語り、温度差の面白さに触れた。夢中に勝る努力はないようだ。
スペース終了後の二人に話を聞いた。山下さんは「作リエ乗っ取りタイム」について、「話の展開もうまく、何よりイケボなのが羨ましい。MCとしてプロの洗礼を受けるのは非常に勉強になった」と大喜びだった。得た気づきを次回から徐々に生かしていくそうだ。
DJ Nobbyさんは、これまで自分のキャリアについてここまで話したことがなく、己のインタビュースキルを客観的に評価したこともなかったという。
「やはり、誰かに自分のことを聞いてもらえるという環境はすごく貴重なものですし、自分が普段やっている活動の振り返りにもなりました」
クリエイターとして作品を発信するだけではなく、「自分自身の事に興味を持ってもらうということ」も大事にしていきたい、と話した。
作リエ恒例「仕事をする上で最も大事にしている、クリエイティブの柱とは何か」という質問に、「人を下げることをしない」と答えたDJ Nobbyさん。自らの作品で誰かを槍玉に挙げて数を稼ぐのではなく、「面白モノでも、どこか品があるもの」、「安心感をもって聞けるもの」を手掛け、細く長くやっていきたいと考えている。
第29回作リエは、2023年9月20日実施予定。