東京都では物価高の影響を受けやすい低所得世帯に向け、「東京おこめクーポン」を配布している。国産米や野菜等の食品と引き換え可能で、米袋の場合は前面に「転売禁止」と書かれている。ところが、これがインターネット上で転売されているのだ。
都の生活福祉部に取材した。食品の直接配布により低所得者を支援する趣旨のため、「転売は禁止」と定めているという。
70件以上の出品
東京おこめクーポン事業は、令和4(2022)年度12月補正予算(案)に事業費296億円で組み込まれ、都議会の第4回定例会(22年12月)で可決された。同年11月18日付の日テレNEWSによると、都内の住民税非課税世帯約170万世帯に対し、1世帯あたり1万円相当、およそ25キロのコメを配送する方針(当時)とされていた。
2023年2~4月にかけ、対象の世帯にクーポンを郵送。同封されているハガキか、クーポンに記載の専用サイトから食品配送を申し込める。受付は8月5日で終了した。
9月12日現在、メルカリで東京おこめクーポンで配布されたコメを調べると、15キロ(kg)あたり3600円(税込)を相場として、70件以上出品されている。多くはすでに売り切れだ。また画像編集により、袋前面の「転売禁止」マークを黒色や白に塗りつぶしている事例が、少なくとも8件見つかる。
転売は4~5に気付いた
前述した都の生活福祉部担当者によると、東京おこめクーポンの食品は今年3~4月に配布を開始。4~5月ごろに、インターネット上で転売されているのに気付いた。フリマアプリ「メルカリ」の運営には出品の削除など対処を求めてはいるが、対応はメルカリ側で判断するとの返答が寄せられているとの話だ。
他のフリマサイトでもコメの転売例はあるが、サイトに対応を要請したところ出品を取り下げてくれた事例もあったという。