福岡県は、メタバース空間「おいでよ きもちかたりあう広場」を2023年8月22日に設立した。孤独感や生きづらさを抱える若者向けの空間だ。参加者はアバターの姿で自身の思いを語り、他者と共有。孤独感の緩和や、精神的な安定につなげていく。毎週1回、19時~21時にオープンする。
対象は、福岡県が実施するSNS相談窓口「きもち よりそうライン@ふくおかけん」の利用者。こちらは自殺予防を目的として「LINE」を通して悩み相談ができる。県の8月22日付発表によると、「不登校やひきこもり対策に限定せず、孤独感や生きづらさを抱える人を対象とするメタバースを活用した取組は全国初」だ。
アバター姿で自己開示しやすく
「おいでよ きもちかたりあう広場」は国内のメタバースプラットフォームとして有名な「cluster」上にオープン。クラスター社(東京都品川区)と、上述の「きもち よりそうライン@ふくおかけん」を運営するエースチャイルド(東京都港区)が協力して開発した。エースチャイルドでは、SNSを使った相談サービスやLINEによる学校連絡システムを手がける。
クラスター社の22日付発表によると、オンライン上では実際の自分の姿より「アバター」を用いたコミュニケーションの方が自己開示の精神的ハードルが下がる傾向にある。自殺を考えるほどの孤独感や、居場所がないとの思いを感じる若者が、ワールドに参加して自分の思いを吐き出し、同じ思いを持つ人の存在を知る。このようにして孤独の解消や、生きる意欲を取り戻すのを目的としている。
「きもちかたりあう広場」を運営しているエースチャイルド代表取締役・西谷雅史氏に取材し、記者は実際にワールドに入った。青空や芝生、花畑が広がる牧歌的な空間だ。各所には画像を表示できるスクリーンを設置しており、レクリエーションに用いる。