新たなメタバースプラットフォーム「プラネタ」が、2023年8月25日にサービスを開始した。開始2日後から一般公開されているのは、名古屋鉄道がオープンした「バーチャル名鉄名古屋ステーション」だ。名前通り、名鉄名古屋駅の構内を再現している。
名鉄公式サイトのQ&Aページによれば、スマートフォンやタブレットからはPlanetaやバーチャル名鉄名古屋ステーションに入場できない。「再現度・クオリティを追求したメタバース空間をぜひPCにてご体感ください」と掲げている。
高精細に再現
名鉄の8月23日付発表によると、「測量技術を活用したデータ取得」により、駅の様子や名鉄電車「1200系」「3500系」を「高精細」に再現している。
実際にプラネタを使ってみる。まだテスト段階にあたる「オープンα」と位置づけている。そのため環境によっては動作が不安定になることがあるようだ。記者が起動後VR名鉄名古屋ステーションに入ろうとすると、ソフトが落ちることがあった。何度か試していると、安定して入場できるようになった。
再現度を追求したと掲げる通り、駅にある3Dモデルひとつひとつの質感はかなりクオリティーが高い。特に光の表現が印象的だ。駅表面の床はワックスの光沢を表現しているのか、粒状に白い光が広がる。
駅でよく見かける薄い汚れを帯びた厚い金属のドアには、ぼんやりと点字ブロックが反射する。「テロ警戒実施中」と書かれた案内書きは、説明書きの紙を覆う透明ビニールが見えてくるかのように、表面に歪んだ白い光が適度に反射している。VRゴーグルを着用して薄目で見ると、実写と錯覚する。
ホームの発車標(電光掲示板)は、ユーザーが入っている現実の時間に合わせて時刻表を表示する。さらに時刻表のタイミングに合わせて、実際に3Dモデルの電車が到着して停車、発車を繰り返す。
「DJブース案内体験」では音声を認識
コンテンツは大きく3つある。まずは「"迷駅"ストーリーコレクト」。構内各所には、光の粒子が散らばっている。この光に触れると、「昭和50年のホーム延伸工事により、上り乗車ホームは18メートル延伸して189メートル(になった)」など、名鉄に関する小話が出てくる。
次に「名鉄ライブラリ」。ホームの脇に、現実には存在しない博物館のような「ライブラリスペース」が設置されている。そこには新名古屋駅が開業した1941年当時の時刻表など、名鉄の電車や歴史に触れられる写真が配置されている。
そしてホームにある「DJブース案内体験」。ここでは係員が案内放送をする運転室、通称「DJブース」から、案内アナウンスをするゲームを楽しめる。
案内体験を開始すると、次にやってくる電車の普通・準急といった種別や、時刻などの情報が表示される。これにもとに、「1分発」「普通」「一宮行き」という具合で、発車時刻や列車の種別、行き先を声に出していく。
ユーザーの音声はマイクを通してワールドに認識される。正しいアナウンスができるとポイントが加算されるが、間違いだと乗客の「イライラゲージ」がたまる。イライラゲージがたまりきるとゲーム失敗だ。
難易度は4種類ある。高難易度では、ホームの何番から何番が乗車位置になるか、またどこの駅に停車するかまでアナウンスする必要が出てくる。こうした情報はやってくる電車の車両数や種別をもとに、そばに設置されている案内資料を参照して判断する必要がある。数秒遅れるとミスになるため、かなり難しい。
バーチャル名鉄名古屋ステーションは、9月3日まで公開予定。入場は無料だ。