背景に改正未成年者保護法
制限はまだある。例えば、未成年によるライブ配信コンテンツのアカウント登録もNG。日本では小中高生にTikTokが大人気だが、中国ではこういったショート動画も規制の対象となる可能性が高い。動画コンテンツは収益化と密接に結びついていることから、「金儲けに子どもを利用する」ことを防ぐ措置だという。草案は、未成年のランキング、投票コミュニティーへのアクセスも禁止している。
これらの規制は、本人に自制を求めるのではなく、スマホメーカーやプラットフォーマーに対応を義務付けるようだ。
ありとあらゆるコンテンツが網にかかっている印象だが、そのベースには2021年6月に施行された「改正未成年者保護法」がある。この法律が施行された当時、日本ではほとんど注目されなかったが、中国政府は以降、「未成年の保護」を理由に次々に政策を発動した。その代表的なものが同年8月30日に導入されたゲーム規制だ。中国当局がネットゲーム運営企業に、未成年のプレイ時間を「金、土、日の各20~21時の1時間」に限定するよう命じ、子どもたちは夏休みや年末年始も週末の1時間しかゲームができなくなった。テンセントなどゲーム企業も、大きな打撃を受けたのは言うまでもない。
関連記事:「ゲームは週末1日1時間だけ 大型連休中は解放されるが子どもたちは不満」
同年9月には、子どもの健全な成長を阻害するとして「塾」がやり玉に挙がり、学習塾が全面禁止になった。今回のスマホ規制案では「学科教育」に関するコンテンツが小学生以下は推奨されておらず、こちらは塾規制の延長だろう。
「未成年のランキング、投票コミュニティーへのアクセス禁止」は、同年8月27日に発表された「ファン経済の乱れの正常化に向けた通知」、すなわち推し活規制と連動していると思われる。推し活が高じてアイドル応援に大金をつぎ込む若者が増え、ファン同士で小競り合いが頻発していたことから、当局が芸能人のランキングやファンを消費に誘導することなどを禁じ、SNSのファングループアカウント、芸能事務所の管理強化などを指示した。