関東大震災から100年 「加害」の歴史「福田村事件」で映画化

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善良な群衆が「加害者」に

   映画の製作は「『福田村事件』プロジェクト」。監督は森達也さん。オウム真理教に密着して実態を撮影した「A」など数々のドキュメンタリー作品で知られる。森さんにとって初めての長編劇映画だ。出演は井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、水道橋博士、ピエール瀧、柄本明ら。

   作品は実話に基づくフィクションになっている。NHKのインタビューで森さんは、事件の背景として、集団や組織が持つ同調圧力や暴走のリスクを指摘。福田村と同様の事件は歴史上、国内外で起きてきたと強調している。

「人が集団に帰属することは当たり前だが、個を保つことが大切。集団が暴走を始めたときに、なんか変だぞ、と思う気持ちを持つだけでも違う。『一人称単数の主語』を持つことが必要です」

   映画でこだわったのは、善良な群衆が刻々と「加害者」に変貌していく姿だったという。

「たぶん朝鮮人が憎くて殺したいと思った人はいない。でも朝鮮人に家族が殺されたらどうする、その意識が先走って、殺害という結果につながる。このメカニズムはほとんどの虐殺や戦争につながると思います。善良な人が自衛意識ひとつで加害者になる。ある意味では今の僕たちとは地続きで、その場に立つとそうなるかもしれないし、つまり加害者は普通の人間であり、モンスターではない」
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