チャリティー番組「24時間テレビ46」が、日本テレビ系列で2023年8月26日~27日に放送される。例年、日本各地では系列局によって「24時間テレビ」のイベント会場が置かれ、寄付を募る。中京テレビ放送では8月25日~27日にかけ、メタバース会場を展開している。ウェブブラウザーから無料でアクセスできる。
お笑い芸人やインフルエンサーを呼び、「バラエティーステージ」や、音楽ライブをする「DJステージ」などのイベントを行う。来場者は「そっくりアバター」という機能を使い、スマートフォンで自分を撮影することで、本人そっくりの3Dアバターを使用可能だ。
サンシャイン池崎「VRジャスティス」
メタバース会場は芝生や池、樹木と自然があふれるデザイン。イベント用のステージや、巨大な募金箱が設置されている。募金箱に触れると、キャッシュレス決済で募金ができるウェブサイトにアクセスする。
「エモート」機能を使うと、アバターに特定のアクションをさせたり、ハートマークを飛ばしたりできる。お笑い芸人・サンシャイン池崎さんの、人差し指や小指を立てる「ジャスティス」ポーズも再現可能。実行すると本人の「ジャースティース!」という甲高いボイスが響く。
イベント初日の8月25日17時に、記者がアクセスした。会場内には数十人の観客が訪れ、ステージ前に集まっている。最初のステージイベントを務めるのは、ものまね芸人のJPさんだ。松本人志さんのものまねで知られる。スタッフ説明によると、「おそらく世界初のメタバースものまねライブ」。
今回は松本さん、EXIT・兼近大樹さん、麒麟・川島明さん、そして元SMAP・香取慎吾さんのものまねを披露。ステージ上には、松本さんらの格好をしたアバターが4体展開された。アバターのモデルが本人そのものなのか、それとも仮装したJPさんなのかはわからなかった。
実際にタレント本人たちが出演している設定で、JPさんが次々とものまね対象を切り替えつつトークしていく。使用アバターを瞬時に切り替えながらのものまね芸は、メタバースならでは。
途中、松本さんら4人に「言ってほしいセリフ」をテキストチャット機能で募集。メタバース会場の来場者から寄せられたリクエストに応じて、JPさんは松本さんの声で「『税金払いたくないよぉ...』。いちばん払ってるわ、オレ!」、また兼近さんの声で「『好きなものは石炭です!』...。これなんですかぁ?ワケワカメですよぉ」と演じていく。
会場は盛り上がっている様子だった。ただ、ときどき来場者が「ジャスティス」のエモートを連打し、池崎さんのボイスがイベント中も響き続け、やや進行の妨げになってしまうことも。これに対してもJPさんは「いや池崎うるさいなホンマ!」と松本さんの声で注意するなど、ボケを欠かさなかった。
MCに局所属「VTuberアナウンサー」
中京テレビ放送、ビジネスプロデュース局ビジネス開発グループのメタバース事業プロジェクトマネージャー・工藤祐馬氏に取材した。
もともと、中京テレビではメタバース事業を展開し、仮想空間で学校の授業をしたり、就職に関するイベントを開いたりしていた。2022年の24時間テレビでもメタバース会場をオープンし、募金箱を設置していた。ただ、今回のようにメタバース会場にしか出演しないキャストを用意したうえで独自のステージイベントを展開するのは、初とのことだ。
体が不自由な人でも、メタバースなら家にいながらでも募金しやすいのがひとつのポイントと話す。また、テレビに関連したメタバースイベントはまだ数が多くない。「メタバースが今後一般化していくうえで、(メタバースに)触ったことがない人にも触れてもらえたら、うれしい」とコメントした。
中京テレビアナウンス部所属「VTuberアナウンサー」の大蔦エルさんにも、話を聞いた。バラエティーステージなどでMCを務める。イベントの魅力について聞くと、DJステージに触れ、「家でジュースやお菓子を食べたりしながら、みんなで一緒に音楽を楽しんでほしい」と話した。ボーカロイド曲のプロデューサーやマーク・パンサー氏などさまざまなアーティストを呼んでおり、幅広い世代が楽しめるという。
また、大蔦さんは活動を開始して5年目だが、今回ほど密に24時間テレビに関わるのは初という。
「全身全霊で3日間盛り上げていきたいと思うので、みなさんも盛り上がってください!」