メタバースは重要なインフラになる
加々美氏がVRゴーグルを購入し、VRChatを本格的に始めたのは22年8月。あるとき、医師や看護師らが行う「VR医療相談集会」というイベントを知った。専門家がVRChat上で無料にて相談に乗る様子に感動し、自身でも専門分野を生かした相談イベントをやろうと思い至った。3D空間の作り方も、自力で学んだ。
開始当初は「閑古鳥」状態だった。本来は有料で仕事を受ける専門分野だが、VR上での相談は無料。イベントに人が来ず「もう、やめようかな」と思ったこともあったと話す。継続のモチベーションは何か。
加々美氏はVRやメタバースが、いずれ人類にとって重要なインフラ、文化や経済活動の基盤になると考える。早い段階からVRに参入し活動することで、仕事や趣味として何か「面白いことにつながるのは」と感じているのだ。実際、「メタバースと行政書士」をテーマに、セミナーや執筆活動のオファーが来ることもあるという。
相談をきっかけに、さまざまな国の人と知り合えるのも面白みのひとつ。また「抽象的な話をすると」と前置きしつつ、こう語った。
「メタバースではユーザーによるコミュニティーが生まれます。外国人同士でさまざまな国や文化が入り混じると、人間関係やトラブルは複雑になります。メタバースという世界でさまざまな国や文化が混じったとき、何が起きるのか。そして法律的には、国境のないメタバース上でユーザーが仕事をしたら、在留資格や税金にどのような影響が出るかに興味があります」