いっそ「作り物のエンタメ」として
順路を歩き終えると、明かりがもどってくる。最後は、地獄館の登場人物が並んで紹介されている空間。名前はそれぞれ、妻を裏切った「罪人の男」と、夫に傷つけられた「亡霊の女」。白装束に身を包んだ「亡霊たち」と「亡者たち」だ。物語が終わったという雰囲気で、一気に緊張感が解ける。
そして「あなた」という欄には、ユーザー自身のアバターを表示。下部の説明書きには
「あなた自身は罪人ではないため無事生還した」
とある。一方で「しかしこの先、彼と同じ末路を歩むことが無いよう努々気を付けよ。仮想世界とて、そこにたゆたう愛憎は本物なのだから......」と意味深なメッセージも。
ワールドを制作したエウレカフォンさんに取材した。スマートフォン向けゲームを手がける「エウレカスタジオ」(東京都新宿区)に所属するクリエイターだ。
VR(仮想現実)は没入感の高さが魅力。一方で、SNSとしての側面があるVRChatでは、どれだけリアルに作りこまれたホラーワールドでも、お化け屋敷のように「作り物のエンタメ」として楽しまれやすいという。
「それならいっそ、作り物のエンタメとしてリアルに作ったものこそ、VRChatとの相性が良いのではないか?」と考え、このワールドを企画したと話す。「現実にあるお化け屋敷の雰囲気の再現」を意識したという。
公開してから3日で、ワールドのFavorites(お気に入り)数は1400を超えた。本格的な和風お化け屋敷のワールドが「ありそうで、なかなかなかった」ため、ユーザーから注目されたのではないか、とエウレカフォンさんは話す。
またワールド入口付近のディスプレーでは、他のプレイヤーが挑戦する様子を映像で見物できる。そのため、フレンド(友人)を誘って行くのも楽しいとのことだ。「テーマパークに来たような気持ちで、お化け屋敷らしい雰囲気を楽しんでほしいです」とコメントした。