現金でやっていけないことはないが
「ここまでのキャッシュレス社会に、中国人は皆対応できているのか」
という質問もよく受けるが、地方都市に行くと現金もまだ存在感があった。チベットとの境にある四川省雅安市は、10年前と同じように交差点に一つという勢いで銀行の支店があって、何だかほっとした。マッサージに行ったら、隣で受けていたおじさんは100元札を渡していた。
高速鉄道も、今はオンラインで予約してチケットレスで改札を通るのが一般化しているが、有人の窓口には現金を握りしめた人たちが並んでいる。
全体で言えば、キャッシュレスが当たり前になっているが、ついて行けていない人もいる。そういう人たちが多いエリアでは、現金もそれなりに健在。ただし、大都市で現金でやっていこうとするのは、東京で自由に喫煙できる飲食店を探すようなめんどくささがあるだろう。
浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
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