「キャッシュレス」中国は想像の斜め上 現金はリスク、銀行ATM激減

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コロナ禍で現金は「悪者扱い」

   中国滞在中、こういうのを見つけてはSNSで紹介していると、日本の経営者数人から「このような人手不足に対処する取り組みは日本も早く広がってほしい」という反応があった。ただ、中国は文脈がちょっと違う。

   コロナ禍の初期、何がウイルスを媒介するか分からなくて疑心暗鬼になり、受け渡しされたお札や小銭を全部消毒して天日干しするという極端な政策が出されるなど、現金は早い段階で悪者扱いされた。人手不足対策ではなく、「感染防止のための非接触ツール」という名目で、現金を受け付けない自販機も理解されたように思う。

   実際、「物理的な現金」を排除すれば計算ミスも起きにくいし、回収の手間を減らせる。筆者は百貨店の催事でレジのアルバイトをしたことがあるが、閉店後にレジのお金を持って機械に入れて、売り上げと一致していなければ何度かやり直さなければいけなかった。機械の前には列ができるし、投入したお金と売り上げが一致していなくても、どこで間違えたか突き止めるのは難しい。あの作業があるからシンプルに退社が遅れる。店側の人にとって、お金のやり取りがなくなるのは便利だし、経営者視点だと持ち逃げや強盗リスクを減らせる。お金の移動にコストを割かなくていいのは、売り手側にとってかなり助かる。

   日本もICカードやQRコードで決済できる自販機・券売機が増えているが、現金を受け付けている限り、回収作業は残る。セルフサービスや自販機で現金を受け付けないという判断は理解できる。事実、中国でスリはかなり減ったという(オンライン詐欺は増えたらしいが)。

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