新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。特に九州の増加が目立っている。いち早く感染が広がった沖縄では、3週連続で減少している。このまま推移すると、全国的なピークは8月中旬のお盆あたりではないかと専門家は見ている。
九州の増加が続く
厚生労働省が全国約5000の医療機関からの報告をまとめたところによると、先週1週間(7月17日から23日)の全国の感染者数は6万8601人。前の週より、1万4451人増えた。1医療機関当たりの感染者数は13.91人。前の週の11.04人と比べておよそ1.26倍となった。
地域別では、相変わらず九州の増加が目立っている。
1医療機関当たりの感染者数は、佐賀27.44人、宮崎24.47人、長崎22.94人など軒並み20人を超えた。前の週からの伸びも大きい。
5月8日に定点把握システムに移行してから、1医療機関当たりの感染者数は長く沖縄が全国トップだった。一時は40人を超えていたが、このところ3週連続で減少し、今回は22.43人。全国のワーストスリーは上記の佐賀、宮崎、長崎に変わった。このほか、熊本、鹿児島、大分も21人を超えており、福岡も18.69人。九州は全国平均よりもかなり多い状態が続いている。
「30」超えると医療ひっ迫
定点把握のデータについて、新型コロナでは特に定義はない。ただし、インフルエンザの場合は、10を超えれば「注意報レベル」、30を超えれば「警報レベル」とされている。
感染症専門医の忽那賢志さんは、「Yahoo!ニュース個人」で7月23日、「第8波の時期はまだ定点報告ではありませんでしたが、さかのぼって同じ算出方法で計算すると、ピーク時には約30であったことが分かっています」と書いている。九州の現在の状況は、第8波のピークに近付いていると推測される。
今後の見通しについて、7月26日に開かれた厚生労働省の感染症部会で、脇田隆字部会長(国立感染症研究所長)は「お盆ぐらいまでは増加が続くだろう」と語っている。
また、広島テレビ放送が運営している「感染症・予防接種ナビ」で、感染症に詳しい大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症の定点報告数が20を超えれば大きな流行となり、30を超えると医療ひっ迫が始まる目安となるのではないか」と説明。「8月の3週目ぐらいまでは、このまま流行が続いていくのではないか」と予測している。