国境なき医師団(MSF)が、メタバース(仮想現実)に出展している。世界最大のVR(仮想現実)イベント「バーチャルマーケット(Vket)2023 Summer」(2023年7月15日~30日)だ。エンターテイメント色の強いイベントながら、NGO(非政府組織)からの初出展となった。
「国境なき医師団日本」のファンドレイジング部に、ブース内で取材した。出展にあたり、「(団体の)内外で驚きの声はありました」と話す。
今まで知らなかった人に
ファンドレイジング部・川原崎真夏氏と岡田美也子氏に話を聞いた。川原崎氏によると、「(メタバースを通して)今まで国境なき医師団を知らなかった方にも知っていただきたい」というのが出展の大きな目的のひとつだ。
ブースのコンセプトは、世界中に医療を届ける「拠点」のような場。現実でも同様のテントを、病院や建物の無い活動現場に設置し、入院病棟としたり、手術を行なったりしているという。
テント内の右側には「モグラ叩き」のようなゲームが設置。手にした巨大なスタンプで、穴から出てくるウイルスに絆創膏(ばんそうこう)を貼り付け、制限時間内に退治してハイスコアをねらうミニゲームだ。
テント内の奥には、灰色の地球儀がホログラムのような演出で浮かぶ。色がくすんでいるのは、世界中に「医療が行き届いていない状態」を表しているという。ブースの外や内側には、計4体のウイルスが潜む。
4体全てをスタンプで退治すると、地球儀は青く光る。ユーザーの力が「世界中に医療を届けるのに役立った」というのを体験してもらうための仕掛けだ。ウイルスを退治するたびに、「活動資金の9割以上が民間の寄付」「医療者以外のスタッフが約半数!」など、MSFに関する説明文が出現。ゲーム感覚で、同団体について学べる。またクリア特典として、ユーザーのアバターの写真が入ったMSF「バーチャルメンバー」会員証を発行できる。