司法試験に17歳で合格した人が話題になっている。これまでの最年少は18歳だった。司法試験には年齢制限がないこともあり、最近は高校生の受験生もいるという。どんな勉強法をしているのだろうか。
数学オリンピックにも挑戦
「17歳で合格」ということで注目を集めたのは、現在は東大生の仲西皓輝さん。2023年6月14日の「弁護士JPニュース」によると、22年の司法試験に、受験時の年齢「17歳11か月」で挑み、見事合格した。当時は兵庫県の灘高校生だった。
同ニュース編集部の取材に、司法試験に取り組んだきっかけを語っている。
「高校1年生になってすぐ(新型コロナウイルスの)緊急事態宣言で学校が休校になりました。今まで理系の勉強しかしてこなかったから、せっかくできた時間を使って法律を本格的に学んでみようと思いました。そうしたらすごく面白かったんです」
灘中学時代から「数学研究部」に所属し、数学オリンピックにも挑戦する「理系人間」だった仲西さん。数学研究部は続け、最後は部長まで務めた。部活以外の放課後の時間に、平均して1日に3~4時間、法律の勉強を続けたという。
将来の希望は、法律を通じて宇宙とかかわること。「日本の企業が宇宙進出する際に、代理人として世界と交渉できたらとも考えています」と、同ニュースの取材に語っている。
高校時代から「伊藤塾」
仲西さん以前の最年少記録保持者としては、2021年に合格した慶大生の大槻凜さんが知られている。21年11月13日の「慶應塾生新聞」が、「最年少司法試験合格者」として紹介している。受験時は「18歳3か月」だった。
司法試験の勉強を始めたのは慶応高校在学中だった。まず大前提として、高校の勉強をメインとしてした。司法試験の勉強は1コマ3時間の授業が週3回あり、授業と同じくらいの時間を復習するため、週18時間を目安に勉強していたという。
司法試験の専門塾として知られる「伊藤塾」のウェブサイト記事 (22年11月29日)によると、司法試験には年齢制限がない。ただし、司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格する必要がある。予備試験に関しては、年齢制限も受験資格による制限もないので、誰でも受験可能な試験になっている。大槻さんは、伊藤塾の受講生だった。
中高一貫校出身
司法試験の合格者は、1970~90年ごろは年間500人前後だった。しかし、90年代から少しずつ増え始め、2000年には約1000人、新司法試験制度が導入などで2006年には約1500人、2010年には2100人超まで増えたが、その後、少し減って、最近は1400人ほどとなっている。
1970~90年ごろに比べると、最近は門戸が広がっているが、受験するには、法科大学院を修了するか、合格率3~4%の司法試験予備試験に合格する必要があるので、現在も超難関であることに変わりはない。
仲西さんも大槻さんも、中高一貫の難関校の出身というのが共通している。
仲西さんが所属していた「数学研究部」は、中1の時に中高6年間の数学を終える。中2からは大学で使用される数学書を使って、現代数学に取り組むというハイレベルサークルだ(AERA 2023年7月3日号)。大槻さんは、幼稚舎から慶応で、高校2年までに成績をきちんと取っていたため、法学部進学に対する心配は少なかった、という。
中高一貫の難関校では、先輩たちの快挙が刺激になって、今後も在学中から司法試験を目指す生徒が出てくることになりそうだ。
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