「正しさ、恥ずかしさ」脇に置け 仕事や創作に生きるコピーライティングの基本

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いかに「ぶっちゃけ」るか

   スペース後半では、コピーライターとして得た学びが、漫画づくりにどう生かされているのかを聞いた。うえはらさんはすかさず、

「(知見が)生かされすぎていて......広告マン全員、漫画家になればいいのにと思います(笑)」

と冗談交じりに答えた。そう言わしめる理由は、大きく分けて二つある。詳細はスペースにて(52:56~)。

   最後に、作リエ恒例の質問「仕事をする上で最も大事にしている、クリエイティブの柱」について。うえはらさんは「自戒を込めて」と前置きし、こう続けた。

うえはらさん「『ぶっちゃけ』ですね。『さらけだし力』と言ってもいい。人が気をひかれるのは正しいことより、本音や人間の生理に近いようなことだと思うので」
山下さん「確かに、自分がツイッターを眺めていて目に留まるのは『ぶっちゃけている漫画』ですね。お利巧すぎるとフックがなくて、誰にもひっかからないというか」

   スペース終了後の二人に話を聞いた。うえはらさんは山下さんとの対談を通じ、気づいたことがあるという。

「偉そうに『コピーライター時代に学んだこと』を列挙させていただきましたが、ふと我に返ると、どれも『漫画家として』は実行できていないことばかり」

   さらに「『正しいけれどつまらない言葉』より、『ズレていても面白い言葉』の方が強い」について、広告づくりに限らないあらゆる創作に通じる話だと再認識した、と話す。今は「正しい」ことが正義になりすぎている時代だ、との思いからだ。

「その状況にカウンターを打つような気持ちで、これからはより個人的で、私小説的な作品を作らなくてはな、と改めて心に刻み直そうと思います」

   山下さんは、「読み手の想像力を信じないと言葉は陳腐になる」という教えが、胸に刺さったようだ。映像においても、セリフだけで全てを補おうとすると途端に安っぽくなってしまう、との理由がある...が、それを逆手に取った演出も考えられる。

「コメディ作品を作っている身からすると、逆に敢えて多くすることで陳腐さを際立たせることも可能......というのも言えそうですね(笑)」

   第25回作リエは、2023年7月5日実施予定。

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