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「ビニール傘」超オシャレに 七色に反射、ユニークなデザインでヒット商品も

   梅雨入りし、突然の雨に振られることもしばしば。そんな時に限って傘がない。すると、多くの人は、コンビニやドラックストアで「ビニール傘」を購入するだろう。しかし、手に入れやすい半面、その壊れやすさから街中や駅での使い捨てが問題になる。

   マイナスなイメージの多いビニール傘だが、近年、オーロラのように七色に光を反射したり、変わったデザインだったり、さまざまな形の新商品が登場。「使い捨てられない」オシャレな人気者に生まれ変わっている。

  • オシャレなビニール傘人気に火をつけた「シャイニーアンブレラ」(22年3月28日付プレスリリースより)
    オシャレなビニール傘人気に火をつけた「シャイニーアンブレラ」(22年3月28日付プレスリリースより)
  • オシャレなビニール傘人気に火をつけた「シャイニーアンブレラ」(22年3月28日付プレスリリースより)

「視認性が高い」と人気

   インスタグラムで「ビニール傘」と検索すると、2.7万件の投稿があり、そのどれもが「かわいすぎる」ビニール傘を紹介する投稿だ。ファッション系ニュースサイトでも、「ビニール傘」を紹介する記事も見かけるようになった。例えば、「ファッションプレス」は2023年6月5日に「グラニフ×Wpc.のコラボレイングッズ」を紹介する記事をツイート、23年6月9日時点で、2000件以上の「いいね」を集めている。

   オシャレなビニール傘は、いつ頃から現れたのだろうか。雑貨専門店「PLAZA」を展開する「スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー」に取材した。

   PLAZA広報担当者によると、2020年ごろにオシャレなビニール傘が登場。翌21年から発売するメーカー、種類ともに増え、今では定番化してきているようだという。販売量について、単純な比較は難しいとしつつも、「ヒットアイテムに関しては圧倒的にビニール傘の方が出やすい印象です」。購入者からは、「かわいい」、「視認性が高い」と好評を得ていると話した。

ビニール傘は「影や透け感、デザインの立体感を多様に表現できる」

   「2020年ごろ」といえば、レイングッズブランド「Wpc.」から「シャイニーアンブレラ」が登場した年だ。Wpc.を展開するレイングッズメーカー「ワールドパーティー」に取材した。

   広報によると、それまでにも同社を含め、様々なメーカーからオシャレなビニール傘が登場していたが、「2020年に弊社が発売した『シャイニーアンブレラ』が大ヒットしたあたりから、オシャレなビニール傘が注目を集めるようになったように感じています」と振り返った。傘業界では、「1万本売れたらヒット」と言われているそうだが、2023年時点でシリーズ累計販売数は30万本を突破しているという。

   ビニール傘のマイナスなイメージ払拭を考え、「他社にはないデザイン性の高いビニール傘をつくってみようとなりました」と開発のきっかけを話した。「シャワーカーテン」に使われる生地を使い、傘を持ったときの見え方やディテールにこだわった。結果、一般的に想像されるビニール傘と異なった見た目に。広報は、

「ビニール傘は布傘と異なり、影や透け感、デザインの立体感を多様に表現できるところがメリット」

   と話し、シャイニーアンブレラは、それらを体現したと説明する。

   しかし、「ビニール傘」。やはり耐久性が心配になる。広報によると、同社では布傘と同じ骨を使用しているため、耐久性に変わりはないという。また、それを周知するため、「長く使えるビニール傘」と名付けて商品の下げ札や、オンラインショップの商品ページ内に説明を入れている。

10%→30%に

   「ワールドパーティー」は、シャイニーアンブレラをきっかけにおしゃれなビニール傘のバリエーションを増やした。22年発売の「クリームソーダアンブレラ」はシリーズ累計販売数約25万本を、23年発売の「コスメティックアンブレラ」は、シリーズ累計販売数約5万本をそれぞれ記録している。

   同社ではまだ布傘の取り扱いのほうが多いそうだが、「現在は傘全体の販売数のうち30%がビニール傘となっています」。19年ごろまでの10%と比べて、販売数を大きく伸ばしているという。