マイナンバーのトラブルが頻発している。特に心配されているのが、保険証を廃止することへの不安だ。すでに2024年秋に保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化する関連法が成立しているが、大手メディアの中には社説で「見直し」を提言するところも出ている。
現行保険証との「選択制」のはずだった
読売新聞は2023年6月7日、「保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない」という社説を掲載した。
「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭ふっしょくするのが筋だ」と、ストレートだ。
社説は、マイナ保険証に関し、他人の情報がカードにひもづけられていたケースが7300件あったことを問題視。「医療に関する手違いは、国民の健康や生命に重大な影響を及ぼす恐れがある。政府は事態を軽視してはならない」と強調する。
そもそも、昨年6月の段階では、現行の保険証とマイナ保険証の「選択制」のはずだった。ところが河野太郎デジタル相が同10月、唐突に保険証の廃止を表明した。
社説はそうした経緯も踏まえ、「法律が成立したからといって、制度の見直しは不可能だ、と考えるのは早計だ」と主張。政府が1980年、納税者番号の一種「グリーンカード制度」を導入する法律を成立させたが、5年後に法律で廃止したことなどを引き合いに出し、「マイナ保険証の見直しは、今からでも遅くはない」と結論付けている。