現実の神社を仮想空間上に再現した「鳥飼八幡宮 メタバース神社」が公開された。コンサルティング業務などを行うEY Japan(東京都千代田区)が2023年6月1日に発表した。
福岡市にある鳥飼八幡宮の境内や拝殿を、現実に近い形で再現。現実の神社ではできないコンテンツも提供し、新たな参拝体験の提供や情報発信をねらう。
「二礼二拍手一礼」すると
鳥飼八幡宮と協議しながら、EY Japanが制作。メタバースプラットフォーム「ZEPETO」上で公開されており、無料で参拝可能だ。頭部に装着するVR(仮想現実)ゴーグルやコントローラーは不要で、スマートフォンからアクセスできる。
境内の各所には参拝方法や神社の歴史などについて記した「豆知識カード」が散らばっており、これをコレクションするのが楽しみ方のひとつだ。アスレチックのようなコースを、ジャンプしながら走りタイムアタックする「福男福女レース」など、ゲーム性のあるコンテンツも用意している。
ユーザーは、画面上のボタンを押せば、賽銭を投げる動作、拍手、礼といった参拝動作をアバターにさせられる。賽銭箱の前で参拝作法である「二礼二拍手一礼」をすれば豆知識カードが出現するなど、神社らしいギミックが搭載されている。
現実もバーチャルも楽しんで
EY Japanは6月1日に記者発表会を開いた。鳥飼八幡宮の宮司・山内圭司氏は、日本の神社が経営上厳しい状況に立たされており、毎年1000社以上が消滅していると説明する。
「時代に合わせて打つ手を変えなければ、歴史をつむぐことはできない」と山内氏。メタバース神社は、鳥飼八幡宮へ足を運ぶ人を増やすきっかけづくりとのことだ。将来的には、世界のユーザーに日本人の精神性や神道、日本神話の世界観を伝えるツールにしたいと語った。
山内氏によると、メタバース神社を作る場として「ZEPETO」を選んだのは、VRゴーグルが不要な点やユーザー層などを考慮して決めたとのこと。
EY JapanのCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)松永達也氏は、バーチャルでの体験を通して関心を持った人には現実の鳥飼八幡宮へ訪れてほしいとコメント。逆に普段から現実で参拝している人には、メタバース神社を楽しんでほしいとした。