近ごろは、鳥インフルエンザを背景とした鶏卵の品薄が話題だ。一方で、オレンジジュースも原料不足に見舞われているようだ。キリンビバレッジは2023年5月26日、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 オレンジ 900ml(ミリリットル)ゲーブルトップ」について2か月間販売を休止すると発表した。
このようにオレンジジュースを販売休止する事例が、複数起きている。
販売再開後も値上げに
キリンビバレッジの発表によると、トロピカーナ オレンジの900mlは6月1日から7月31日まで一時販売を休止する。説明によれば、原材料に使うオレンジ果汁の主要原産国であるブラジルや米国。これらの国で天候不良による不作や病害が発生した。
この影響で、世界的な供給のひっ迫や価格高騰が続いているという。オレンジ果汁の調達が困難になり、またコスト上昇分を企業努力のみではカバーできなくなったために、販売休止になったとの話だ。販売は8月1日納品分から再開するが、希望小売価格は90円値上げし、350円(税別)になるとのことだ。
雪印メグミルクが販売する「Dole」ブランド。公式サイトによると5月31日現在、「Dole オレンジ 100%」の1000ml、450mlサイズは、販売を休止中だ。同社広報に取材した。4月上旬から休売しており、販売再開は未定。
原因は、まずブラジルの2023年1月の大雨の影響。そして次に大きい輸出国である米国でのハリケーンの影響で世界的に原料が足りなくなり、安定的な原料確保、販売が難しくなり休止となった。なお「Dole オレンジ 100%」の200mlパックについては通常通り販売している。
主要産地での災害が影響
業務用食材の通販サービスを運営する「ミクリード」(東京都中央区)。自社ECサイト「ミクストア」では、「神田食品研究所」(東京都新宿区)の「神田食品 オレンジジュース」1Lサイズを取り扱う。これが休売になったと、5月15日に発表している。
ブラジルの果汁減産や、米フロリダのハリケーンの影響で、メーカー側でオレンジ果汁が不足し、継続生産ができなくなったとの説明だ。代替品として、海外食品を扱う「マルレ」(東京都港区)の「マルレ オレンジジュース」を案内している。
3月10日付日本経済新聞(電子版)によれば、加工用オレンジで世界の6割のシェアを持つブラジルでは、オレンジ産地で「かんきつグリーニング病」という病害が広がり、実が育たないといった被害が相次いでいる。
この病害は米国でも先行して伝染しているほか、オレンジの主要産地であるフロリダ州では22年9月に大型ハリケーンが上陸し、農場の浸水といった被害が続出したという。