AIが人気歌手を失業させる日  本物そっくりの歌声で他人のヒット曲カバー

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【連載】デジタル中国

   2000年代に超売れっ子だった歌手、孫燕姿(スン・イェンツー、英語名ステファニー・スン)」の歌声をAI(人工知能)に学習させ、他の歌手のヒット曲をカバーさせる「AI孫燕姿」が中国でバズりにバズっている。

   あまりのそっくりぶりに、リスナーたちは AIが音楽業界に新風を吹き込むのか、あるいは歌手を失業させるのか、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を繰り広げている。

  • ステファニー・スン(写真:アフロ)
    ステファニー・スン(写真:アフロ)
  • ジェイ・チョウ(周杰倫)は2022年、IFPI「グローバルアルバム売上ランキング」1位を獲得
    ジェイ・チョウ(周杰倫)は2022年、IFPI「グローバルアルバム売上ランキング」1位を獲得
  • ステファニー・スン(写真:アフロ)
  • ジェイ・チョウ(周杰倫)は2022年、IFPI「グローバルアルバム売上ランキング」1位を獲得

「推しの子」主題歌もカバーされる

   シンガポール出身の孫燕姿は2000年代前半に爆発的な人気を博した、アジアを代表する歌手の1人だ。過去には倉木麻衣ともデュエットしている。ただ、最近は新作の発表も少なく、「昔売れていた人」というイメージを持たれているようだ。

   彼女の名前が中国のSNSを埋め尽くしたのは、2023年5月中旬。孫燕姿の歌の特徴を"完コピ"したAIが、他の歌手のヒット曲をカバーするコンテンツが中国の動画配信サイト「ビリビリ(BiliBili)」にいくつも公開されていることが判明した。再生数が最も多いのは、中華圏で絶大な人気を誇る周杰倫(ジェイ・チョウ)の楽曲「髪如雪」のカバーで、4月14日に公開されたコンテンツは5月30日朝時点で222万回再生されている。

   動画の弾幕やコメントは、孫燕姿の声や歌い方の再現度の高さへの驚きであふれている。AIと知らなければ、孫燕姿自身の声だと疑わなかったとのコメントが圧倒的に多い。

   AI孫燕姿の存在が周知されたことをきっかけに、ビリビリ動画では他の有名人のAIも多く発掘された。日本のテレビアニメ「推しの子」の主題歌である「アイドル」や宮本浩次の「冬の花」をカバーしているのは、トップ芸人・郭徳綱の音声を学習した「AI郭徳綱」。もはや歌手ですらない。

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