新型コロナウイルスが2023年5月8日、「5類」に移行してから約3週間になる。「定点把握」のデータ分析によると、東京都では新規感染者が急速に増えている。全国的に同じような傾向で、専門家は注意を呼び掛けている。
「感染拡大の増加スピードに注意が必要」
5類移行したことに伴い、日々の新規感染者数の発表は終わり、週1回の「定点把握」に変わった。
東京都の場合、都内419の定点医療機関から1週間分の患者数の報告を受けて1医療機関あたりの患者数の平均を割り出し、感染動向をモニタリングしている。
NHKによると、東京都は5月21日までの1週間で、新型コロナの1医療機関あたりの感染者数は3.53人。前の週のおよそ1.5倍となっている。専門家は「感染拡大の増加スピードに注意が必要だ」としている。
テレビ朝日によると、今月8日から14日の1週間分の分析では、1定点医療機関あたりの患者報告数は2.40人。1週前の今月1日から7日を同じ方法で算出した場合は1.41人だったので、およそ1.7倍に増加していた。
同じ計算方法で22年12月下旬、1日の感染者数が2万人前後で、第8波のピークだったときは、19.78人だった。
「空気感」で移行の指摘
感染が拡大しているのは東京だけではない。各県の発表によると、兵庫県は21日までの1週間で前週の1.5倍、福岡県は1.3倍、北海道は1.25倍など全国的に増加が目立っている。
5月24日の京都新聞によると、インフルエンザでは、感染者数が定点把握で10人を超えると「注意報」、30人以上で「警報」を発表している。しかし新型コロナはデータの蓄積がなく、対応が難しい。同紙は社説で「1週間遅れで週1回の情報では、医療現場の実情とずれが生じてしまうとの懸念が高まる」とも指摘している。
朝日新聞も24日、「5類移行は、科学ではなく、空気感で決まりました。一気に緩和すると、感染者増えるスピードは速くなり、『波』のピークも高くなる。そうなれば、亡くなる人も増えます」という西浦博・京都大教授の論評を掲載している。