販路拡大を商品開発に生かす
売れ筋は小型のエントリー商品だが、使っていくなかで、より大きな容量を求めるようになり、増設バッテリーを連結できる中型サイズへ乗り換えるユーザーは多いという。大型のものもデザイン性が高いため、一戸建てのリビングなどに置いても親和性がある。
「日中はソーラーパネルで充電して、テレビと冷蔵庫をつないでみるなど、普段から楽しみながら使えます。いざという時も、電気を安心して使える。収納して備えておくのではなく、使っていただくことで価値が出てきます」
これまでBLUETTIは、販路の中心にECを据えていたが、2022年12月に直営店(東京・秋葉原)をオープンするなど、リアルでの顧客接点も作りつつある。一般消費者向けのBtoCと同時に、法人向けのBtoB需要も積極的に取り込む方針だ。
6月発売予定の「AC180」
「SDGsの一環として、ソーラー発電をしたい企業もあります。ただ、商品単価が安いわけではないので、すぐ買うのには抵抗がある。直接ブースで『どう災害に備えるのか。使い方はどうなっているか』と対話できることで、ご担当者様も安心して購入いただけます」
環境面への配慮では、たとえばキッチンカーで飲食ビジネスを始めようとするとき、排気ガスが出る発電機ではなく、家庭用電源から充電できるポータブル電源を使うのも選択肢だと、李さんは指摘する。
「現状の商品ラインアップでは、BtoBとBtoCの間に明確な線引きがありません。『防災』といった大きな部分は変わりませんが、機能などの細かい要望を開発に生かして、新しい製品を出していきたいですね」
販路の広がりとともに、商品開発するうえでの「市場の声」もバリエーション豊かになっていく。BtoB向けに訴求するうえで、人事や総務などのバックオフィス業務に携わるビジネスパーソンが集まる「オフィス防災EXPO」は、貴重なアピールの場となっただろう。