「教員不足」採用条件を緩和 大学3年生や教員資格なしでも受験可能に

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   小中学校の教員不足を解消するため、採用試験の方法を見直す教育委員会が増えている。大学3年生や、教員免許を持っていない人も受験できるようにするなど、採用条件を緩和するケースが目立つ。近年、応募者が急減して採用倍率が低下、要員確保が難しくていることに対応したものだ。

  • 小中学校の教員は近年、応募者が急減して採用倍率が低下
    小中学校の教員は近年、応募者が急減して採用倍率が低下
  • 小中学校の教員は近年、応募者が急減して採用倍率が低下

「社会人教員」の採用も広がる

   教員採用試験は、大学生の場合、普通は4年生が受験する。しかし、最近、3年生でも受験できるように制度を手直しした教育委員会が少なくない。

   共同通信によると、東京都は、「一次試験のうち、基礎知識を問うテストは大学3年生で受験可能」。富山県は「一次試験(筆記と面接)は3年生で受験可能」。福井県は「一次試験(筆記と実技)は3年生で受験可能」。神奈川県川崎市は「3年生向けに別枠の試験を実施。早ければ秋に内定」などだ。

   教員免許を持たない「社会人教員」の採用も広がっている。中国新聞によると、広島、島根、鳥取の3県は2023年度の試験で、免許を持たない社会人を採用する対象教科を拡大。山口県は社会人向けに免許取得費用を補助する制度を新設した。

   朝日新聞によると、東京都の場合、今年度から、教員免許を持たない25歳以上の社会人でも教員採用試験が受けられる。40歳以上を対象に2022年度から導入していたが、今年度実施分から年代をさらに広げた。東京都教育委員会は、受験条件を設けており、合格から2年以内に教員免許を取得する必要がある。それまで教壇には立てない。

倍率はどんどん低下

   読売新聞は5月10日、「全国の公立小中学校の20%以上で教員不足となっている」と報じた。これは、日本大学の末冨芳教授らの調査によるもの。昨春より5ポイント悪化しているという。

   大学3年生から受験が可能にする都道府県が増えているのは、早めに学生を囲い込みしたいため。社会人採用の基準を緩めているのは、新卒以外にも門戸を広げ、教員を確保するのが狙いだ。

   雇用・労働政策研究者の今野晴貴・NPO法人POSSE代表によると、公立教員の採用倍率は、2000年度は13.3倍だったが、21年度には3.9倍まで低下している。

   朝日新聞によると、都の採用試験の合格者数(小学校全科)は、この10年間で約1.5倍に増え、23年度採用分は1767人だった。

   人数の多いベテラン層の退職や、小学校で1学級の児童数を減らす「35人学級」が段階導入されていることに伴い、採用数を増やす必要があった。一方、受験者数は同期間に4976人から2555人にほぼ半減し、受験倍率は1.4倍にまで低下している。

   教員の採用条件を緩めると、応募者が増える可能性はあるが、そのことで、教員の質の低下が進むことも懸念されている。5月17日には、教員不足解消に向けた、より抜本的な取り組みを政府に求める緊急集会が、国会内で開かれた。

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