倍率はどんどん低下
読売新聞は5月10日、「全国の公立小中学校の20%以上で教員不足となっている」と報じた。これは、日本大学の末冨芳教授らの調査によるもの。昨春より5ポイント悪化しているという。
大学3年生から受験が可能にする都道府県が増えているのは、早めに学生を囲い込みしたいため。社会人採用の基準を緩めているのは、新卒以外にも門戸を広げ、教員を確保するのが狙いだ。
雇用・労働政策研究者の今野晴貴・NPO法人POSSE代表によると、公立教員の採用倍率は、2000年度は13.3倍だったが、21年度には3.9倍まで低下している。
朝日新聞によると、都の採用試験の合格者数(小学校全科)は、この10年間で約1.5倍に増え、23年度採用分は1767人だった。
人数の多いベテラン層の退職や、小学校で1学級の児童数を減らす「35人学級」が段階導入されていることに伴い、採用数を増やす必要があった。一方、受験者数は同期間に4976人から2555人にほぼ半減し、受験倍率は1.4倍にまで低下している。
教員の採用条件を緩めると、応募者が増える可能性はあるが、そのことで、教員の質の低下が進むことも懸念されている。5月17日には、教員不足解消に向けた、より抜本的な取り組みを政府に求める緊急集会が、国会内で開かれた。