「中華料理」なのに、中国にない。あるいは名前は同じでも、日本と中国で違う。そんな料理が存在する。例えば、ホイコーロ(回鍋肉)。日本では、キャベツと豚肉のみそ炒めを思いつく。だが中国では、豚肉を使ってはいるが料理としては別物だ。
こうした中華料理をめぐる日中の違いを、山梨県の中華レストラン「さんぷく」、そして中国・上海出身のA さんに聞いた。
ギョーザに「ニンニク」がない
「さんぷく」の社長は、30年以上前の「思い出話」をしてくれた。当時、店で働いていた中国人留学生にもてなしてもらったエピソードだ。
「中国の家庭で食べる水ギョーザを、ぜひ知ってほしい」と振る舞ってくれた。ギョーザの皮に使われた材料は小麦粉、塩、水だけ。あんは、「豚肉とたっぷりの野菜で練り上げた物」、「肉が苦手な人のための、炒り卵と野菜のギョーザ」などが用意された。
このギョーザには「ニンニク」がなく、「食後にギョーザのゆで汁を飲むと消化を助けるからと勧められ」、社長は驚いたという。「今ではインターネット等の情報で、ゆで汁を飲むことも知られているかと思いますが、当時は疑いながら口にした覚えがあります」。飲んでみると、実際においしかったと話した。
中華丼や冷やし中華も!?
Aさんは上海出身で、現地に22歳まで暮らしていた。日本では中華料理として有名だが、中国では聞かないメニューとして、チンジャオロースや天津飯、上海焼きそば、エビマヨを挙げた。調べると、中国でもチンジャオロースはあるが、日本と違いがあるようだ。
中華丼や冷やし中華は、知る限りでは中国に存在しないと A さん。中国語では、夏に食べる、冷やした麺を「冷麺」と呼び、「『冷やし中華』って、あまりにも自分が知っているものと違います」。冷麺は、北京辺りだと「太い春雨」のような麺だという。