市場規模は16兆円に
本物と思われる文章を、自在に作り上げてしまう生成AI。文章を書くことを本業としている職業人にとっては、仕事を奪われるリスクもあり、心配な存在だ。
読売新聞によると、米ハリウッドでは脚本家たちが、生成AIが、脚本家らの著作権を無視して学習し、創作分野にまで入り込みかねないと危機感を強めている。
全米脚本家組合は、ウォルト・ディズニーやネットフリックスなどが加盟する業界団体「全米映画テレビ製作者協会」に対し、AIに脚本を書かせたり、過去の作品を学習させて新たな作品作りに利用したりしないよう求めているという。
同紙によると、製作者側にとって、生成AIの活用は製作費の削減につながる可能性がある。カリフォルニア州の映画製作会社「ワンドア・スタジオ」はすでに、ChatGPTなどを使って脚本や絵コンテを作成し、人気小説の映画化に取り組んでいるという。
生成AIをビジネスに利用する動きは急速に拡大している。2027年には世界の市場規模が16兆円になると見込まれている。すでに多数の問題点が指摘されており、対応や規制方針は主要国でも異なる。5月19日から21日に、広島市で開催される広島サミット(先進国首脳会議)でも、生成AIにどう対処するかは最重要課題の一つになっている。
日本では5月17日、国内123の新聞社、通信社、放送局が加盟する日本新聞協会(会長=丸山昌宏・毎日新聞社会長)が、ChatGPTなど生成AIによる報道関連コンテンツの利用に対する見解を公表した。
朝日新聞によると、記事や写真が無断でAIに利用されたり、AIがつくる偽情報や世論を誘導する情報がインターネット上に拡散したりすれば、民主主義を支える健全な言論空間を混乱させると警鐘を鳴らしている。