群れる社長 金田信一郎さんは仕事を回し合うサークル活動に喝

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自律的な組織に

   金田さんは日本経済新聞の編集委員や、日経ビジネス記者を務めた経済ジャーナリスト。東洋経済での本連載は始まったばかりで、今作が4回目となる。

   初回では「30年以上にわたり企業を取材してきた中で『ヤバい』と感じた会社や仕事を取り上げていく」と連載の趣旨を説明している。昨今「ヤバい」は善悪両方の意味で用いられるが、金田さんも「危ない」「すごい」の両面に光をあてるそうだ。言うまでもなく、今作のように危ない話のほうが面白い。

   わが国の社長たちが群れたがるのは、日本経済のパイが膨らみ、仲間内で仕事を回していれば会社を維持できた昭和のなごりらしい。そんな時代はとうに去り、互助サークルは崩壊するか有名無実に、まともな経営者ほど「いち抜けた」と消えていく。

   金田さんが、いわば結論として引用したA社長の信念は、「理念を社内に浸透させることこそトップの仕事」というもの。これを徹底すれば、現場の社員が自分と同じ判断を瞬時に下すことができる。つまり、組織が自律的に動き始めるのだ。

   そんなAさん、旧態依然とした社長サークルについてのコメントも歯切れ良い。

〈そもそもライバルが答えを教えてくれるわけがない。そんな甘い話 100%ない〉

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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